アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
58
-
「なっ、なっ!?」
口をパクパクさせている課長に、山野さんは笑って言った。
「山中さん、うちの甲斐が勘違いしたようですみません。」
「え、え?!」
もうおれ、死んだ。
恥ずかしくて死ねる。
「甲斐は違う人と付き合ってますよ。寺田さんはフリーです。・・・ですよね?」
「は、はぃっ!!」
真っ赤な寺田さんが、視線を彷徨わせながら頷いた。
「か、課長・・・。」
「寺田さん!」
後は、お若いものだけで。
そう言いたいのは山々だったけれど、おじさん同席の告白ってどうなんだろう?
こっちだけが知ってるなんてフェアじゃない。
「あの、今日はすみません。甲斐と申します。」
山野さんの隣で笑い転げていた男性に頭を下げた。
寺田さんがおじさんと言っていたから、もっとおじさんかと思っていたが、知的な背広の似合う素敵な年上の男性だ。
「はじめまして、恭子の叔父の清水と申します。」
「お、おじっ?!」
ごめん、課長。
本当にごめんなさい。
課長は息が出来ずに、真っ赤になったり真っ青になったり忙しい。
そりゃそうだろう、告白したいと宣言したら、隣には本人がいて、しかもその叔父さんまでいるんだから。
おれなら、消える。
そのまま、プシューーって掘り炬燵の中に隠れちゃうと思う。
「清水さん、こちらは上司の中山です。」
「は、はははははは、はじめまして!」
慌てて立ち上がろうとして、掘り炬燵の足で脛を打った課長はバタンと音を立てて倒れた。
「か、課長!!」
「寺田さん・・・っ!」
助け起こしに行った寺田さんの手を握りしめて、課長はパクパクと口を動かした。
「い、いつから?」
「ご、ごめんなさい、最初からです!」
課長の目にいっぱい涙が溜まった様子を、おれは見て見ぬふりをした。
ごめん、本当ごめんなさい!!
課長、ごめんなさいっ!
「て、寺田さんっ、先に叔父様にご挨拶させてください!」
「ど、どうじょっ!!」
テンパリ組の3人と、爆笑するふたり。
弥生さんがだし巻き卵を持ってきて、ようやく事態は落ち着いた。
「あらあらカップル成立?」
「ブハハハハッ!」
今日も弥平太は賑やかです。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
58 / 108