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カンッ!
卓球台の端に当たって落ちていく。
カンッカンカンカンカン・・・。
跳ね落ちた球はとなりのカップルの足元に落ちていった。
負けが決まったその瞬間、そのカップルが声を発した。
「サイドだ!!」
会場がわぁぁ!と盛り上がった。
「あれ、エッジ?!」
「サイドだよ、あっちの人の負けだって!」
・・・え?
呆然として周囲を見回すと、カップルが代わる代わる抱きしめに来た。
「良かったね!」
「勝ったんだよ!!」
え?
ラケットが手から滑り落ちた。
「うそ・・・?」
「嘘じゃない!サイドに当たって落ちたんだよ!」
サイド・・・。
つまり、卓球台の縁(エッジ)に当たると有効打となるが、側面(サイド)は失点になる。
「・・・良かったっ!!」
全身の力が抜けた。
涙目で振り向くと、会場に来ていた山野さんが優しい顔で笑ってくれた。
「待て!今のはエッジだ!!」
松島さんが、わめいた。
勝利に盛り上がっていた会場は、シン、と静まり返った。
「絶対、端に当たっていたはずだ!」
松島さんは、カップルの男性の胸ぐらを掴んだ。
「お前、嘘言っただろう!!」
「言うわけない!離せ!」
「うるさいっ!」
男性に向けて腕を振り上げた松島さんに、おれは息を飲んだ。
・・・危ない!やられちゃう!!
恐怖に足が竦んだおれの目の前で、代わりに松島さんが吹っ飛んだ。
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