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よく、考えなきゃ。
単につけられているだけなら、害は無いと思う。
でも、何かしてくるかもしれない。
・・・その時は、どうやって戦えば良いだろうか。
武器と呼べるものは、包丁くらいしか思いつかない。
でも、包丁は取り上げられたら終わりだ。
考えなきゃ。
考えろ、おれ。
電車は空いていた。
座席に座ると、すぐに電車は出発した。
揺れる電車、ゴーッという地鳴りのような低い音。
聴き慣れると何も感じないが、最初はビックリしたのを思い出した。
あ。
音は?!
例えば、ブブゼラとかは?
ブブゼラは、昔、サッカーの試合の時に、もの凄い爆音を吹き鳴らして応援した、ラッパのような楽器だ。
あんなの、なかったかな?!
背中にじっとりと汗が出てきた。
だって、絶対に隣の車両から見てるよね?!
怖い、怖い、怖い!
仮に松島さんだとしたら、松島さんはおれに何をする気だろうか。
それこそ、拉致監禁とかするのかな。
薔薇がいっぱいの部屋で、手足を縛られた自分を想像して、泣きそうになった。
嫌すぎる!
フリルのシャツとか着せられたら、どうしよう?!
ぴちぴちのタイツなら、もっと嫌だ。
それとも女装させられるのかも?!
・・・絶対、美しくない。
すね毛、スカートから にょっきり出るのヤダ。
顔を思わず両手で覆った。
恥ずかしくて死ねる。
めちゃめちゃ嫌すぎて、たまんない!
『写真と花は認めるよ。可愛いものは愛でたいからね。』
松島さんがああ言ったってことは、写真撮りまくられるのかな?!
それこそ、もう一生お日様を見れないかもしれない。
怖い!
怖い、怖い!
ヤバイでしょ、やっぱり。
山野さん、ついてきてくれてるよね?!
おれ、ひとりじゃないよね?
・・・たぶん。
指の隙間から、自分の足元を見た。
そのまま顔をあげて、隣の車両を見たいけど、それをしたら終わりだ。
・・・ああ、地下牢に繋がれる。
絶対、絶対、ヤバイ。
松島さんに抱かれるなんて、死んでもイヤ。
せめて、犯人から連れ出された時に、証拠が残ってた方がいいよね。
家に帰ったら、ボイスレコーダーの電源入れて置かなきゃ・・・って、会社じゃん!!
寺田さんにデータをあげようと思って、机に置いたんだった。
「・・・あれ?」
朝から置いたボイスレコーダーは、会社に戻った時に見かけなかった気がする。
見ていたら、すぐにデータをUSBに取り出したはずだ。
え、待って。
無かったよね?
それとも、あったのに気付かなかった?!
心臓が早鐘を打ち出した。
どうしよう、怖いよ。
山野さん、怖い!
両手を下ろして、膝を握った。
・・・捕まりそうになったら、逃げなきゃ。
とにかく、拉致監禁は勘弁してもらいたい。
もうすぐ、着いちゃう。
思い出せ、おれ。
アクション映画だと、みんなどうやって戦ってた?!
回し蹴り、殴る、あと吹き飛ばす。
・・・あ!!
あれでいこう!!
ごくんと唾を飲み込むと、甲斐は立ち上がった。
そして、決戦の舞台へと向かって行ったのだった。
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