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爆弾発言に迅速に反応したのは、寺田だった。
すでに中山はクローゼットに頭を入れて紐を探していたし、手が空いているのは寺田しかいなかったからだ。
「爆弾ですって?!」
多分、そうじゃないと思う。
爆弾だったら、すでに自分たちは木っ端微塵だし、爆弾にしては可愛い破裂音だったからだ。
なにかが弾け飛ぶ音・・・。
部屋の中からしたのは間違いない。
そして、その音は自分の近くで鳴った。
つまり、キッチンかお風呂場。
音の方向からして、キッチンに間違いないと思う。
「て、寺田さん!気をつけて!!」
「はい。」
課長の声に頷きながら、破裂音の後、シューシューと蛇が舌を出しているような音がする場所を探した。
・・・ガス漏れ?
でも、それなら吹っ飛んでるはず。
用心しながらシンク下を開けるが、中身は見事に空っぽだった。
どこ、どこなの?
耳を澄ませながら這いつくばり、音の方向を探った。
ヴーンという冷蔵庫のモーター音もして、分かりにくい。
と、ふと冷蔵庫を見上げた。
・・・もしかして、袋に入ったキムチが弾けた?
韓国旅行に行った際、空港でお土産のキムチを買ったことがある。
友だちや当時の同僚に配りまくったが、二袋余ってしまった。
仕方なく自分で少しずつ消費していたが、飽きてしまってしばらく放置した。
すると袋に入ったキムチが発酵して、真空パックだったそれがパンパンの破裂寸前になった・・・なんて記憶を思い出した。
めちゃくちゃ自信がある。
あれ以上放置したら、絶対に!冷蔵庫中にキムチが飛び散っていたはずだ。
もしかしたら、この冷蔵庫の中は・・・。
寺田はごくりと唾を飲んだ。
もしかしたら、血の池地獄ならぬ、キムチ地獄?
思わず、想像してしまった。
ああ、悲惨!
全方向360°飛び散っているに違いない。
震える指を、冷蔵庫に向けて伸ばしていく。
と。
「中島くーーーんッ!!」
物凄い勢いでアパートの扉が開き、家主である甲斐が帰ってきた。
!!!!
そうして部屋の空気が凍りつき、全ての時間を止めたのだった。
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