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アパートの扉を開けた甲斐は、ぶっ飛んだ。
まず目に入ったのは、部屋の奥のベッドだ。
そこには、富永さんと中島くんがキスをする距離で抱き合っていた。
「!!!」
そして、中山課長はクローゼットの中に頭を突っ込んで、何やら探し物をしている。
紅一点の寺田さんはというと、冷蔵庫の前で四つん這いになっていた。
ええーーーー?!
いやいや、嘘だよね?!
目の前の光景に衝撃を受けたおれは、驚きのあまり何も言えなくなった。
「甲斐くん!」
先に扉を開けたおれに続いた山野さんが、同じ光景を目撃した。
「メガネは・・・。」
たぶん、メガネ野郎はどこだ?と聞きたかったんだ思う。
でも、山野さんも口を閉じた。
そして背後からおれを抱きしめてくれた山野さんの腕に、おれもそっと手を重ねた。
・・・うん、分かるよ。
山野さん、これ、変だよね。
みんな、動けない。
みんな、一言も発せなかった。
異世界への入り口。
たぶん、地下魔窟のダンジョンに違いない。
・・・山野さん。
「おいおい、何事だ?」
と、膠着状態のおれたちのもとへ、新しい勇者が召喚された。
その人は部屋の様子を一瞥すると、困ったように眉根を寄せた。
「ちょっと遅かったかな?」
ああ、勇者だ。
し、
「清水さん!!」
寺田さんのおじさんである清水さんの登場に、事態の収拾の目処が見えて、泣きたくなるほど感謝したのだった。
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