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「さあ、ゆっくり話を伺おう。」
コショウゾーンには座れないため、自然と男性チームはベッド周辺、寺田さんはコショウゾーンの手前に座って、状況説明をすることになった。
おれと山野さんは仲良くクローゼットの前に座っている。
ベッドには、中山課長と中島くん。
クローゼットとベッドの中間に、富永さんと清水さんがいた。
清水さんには、ぜひ座っていただくようお願いしたが、立って話す方が楽だとの申し出があり、自然と司会役は清水さんになった。
ちなみに富永さんも、まわし部分がゴワゴワするからという理由で立った状態だ。
「まず、自己紹介からお願いしてもよろしいですか?」
清水さんって不思議だ。
柔和な笑顔なのに、どこかヒリヒリするような雰囲気がある。
これが、警察官っていうものなのかな?
「わたしは公務員の清水です。姪の恭子に呼ばれてお邪魔しました。」
口火を切った清水さんの後に続いて、課長が手を挙げた。
「わたしは甲斐さんと同じ会社で課長をしております、中山です。」
中島くんの目が大きくなったのが分かった。
分かる。
言いたいこと、めっちゃ分かる。
「え・・・ヤクザ?」
だよね、課長の服から連想するの、そこだよね。
中島くんの呟きに、課長が頭を掻いた。
「この格好は、たまたまです。今日はどうしても強そうに見せる必要がありました。」
穏やかな物言いに、中島くんの肩の力が少し抜けたのが分かった。
「清廉潔白な医療機器メーカーに勤務していますので、安心してくださいね。」
中島くんの視線がおれに向けられた。
おれは笑顔で頷くと、富永さんに目を向けた。
「同じく、甲斐くんとは同じ会社です。富永と申します。」
富永さんは、だるだるのウエストを握って、清水さんと中島くんに笑顔を向けた。
「この格好は、甲斐くんの趣味です。見事にハメられて、これを着ています。」
「ちょ、ちょっと・・・!」
それは去年、社員旅行の罰ゲームで着たやつであって、おれの趣味なんかじゃないもん。
あの時は、もうひとりの同僚と相撲をした。
宴会が終われば、荷物でしかないコスチュームだ。
先輩達が購入したソレらも、おれたち後輩が持って帰ることになったという負の遺産にすぎない。
「・・・。」
中島くんの顔が引き攣っている。
後で、絶対に説明しなきゃ!
変態だって思われちゃう!!
「寺田と申します。甲斐さんと同じ会社で働いています。」
寺田さんが首を傾げた。
「私の服は自前です。叔父が間に合うか分からなかったので、用意したのものです。」
清水さんの眉が寄った。
「全く、姉さんに似て無茶をする。」
「ふふ、そうかな?」
「そうだよ。」
清水さんは頷きながら、山野さんに視線を向けた。
「甲斐くんの友人の山野です。」
山野さんは、医者だとは言わなかった。
「彼がストーカー被害に遭っていたので、守るために側にいます。」
みんなの視線が中島くんに向いた。
「ふぇっ!えっと、中島です。甲斐殿のゲーム仲間です。」
丸いメガネがキョロキョロとみんなを見渡した。
「甲斐殿が心配で、・・・来たんですけど。」
中島くんがベッドの上で体操座りをした。
「えっと、なんかごめんなさい。」
中島くんのオドオドとした表情に、清水さんは優しい笑顔を向けた。
「謝る必要はありませんよ。さて、甲斐さん。」
清水さんは、その優しい笑顔を張り付けたまま、おれを振り返った。
「甲斐さん、ストーカーは勘違いというのはどういうことか、ご説明いただけますか。」
絶対、目からビームでてるよね!
たらたらと冷や汗をかきながら、おれはしっかりと頷いた。
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