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「まず、ストーカー被害には遭いました。」
話し出したおれの腰に、山野さんは手を回して支えてくれた。
「ただ、その犯人のひとりとは話がついています。」
清水さんは黙って先を促した。
富永さんと中島くんは、初めて聞く話に目を丸くして驚いている。
「その人は、盗撮と薔薇を部屋の前に置いたことを認めてくれました。」
寺田さんと中山課長は、バッティングセンターでの出来事を思い出したのか顔を歪めた。
「その人の職場に知り合いがいるので・・・、」
腰を抱く山野さんの腕が温かい。
山野さんを見ると、優しく微笑んでくれた。
「もう、被害には遭わないと思います。」
「甲斐さん、念のために被害届を提出して、警察を使うことも出来ますよ。」
清水さんの言葉に、おれは首を振った。
「その方は、男性なんです。うまく言えないんですけど・・・。」
多分、プライドは高い方だと思う。
そんなことをしたら、逆上しそうな気がした。
「きっと、もう付き纏いはないと思います。」
「わたしは顔が割れているので同行できませんが、今後、甲斐さんがその病院に関わる際には、富永を同行させましょう。」
キッパリと言ったおれの話に、課長がフォローしてくれた。
富永さんは、急に振られた話に目を白黒させた後、『大変だったな。』とでもいうような優しい顔を見せてくれた。
中島くんはあまりの内容に、声が出ないのか、口をぱくぱくさせている。
「では、もしまた被害に遭いそうな場合には、ご連絡ください。」
「はい、ありがとうございます。」
山野さんとふたり、清水さんに頭を下げた。
「しかし・・・、それでは解決していませんね。」
「はい、でも・・・。」
清水さんの言葉に、山野さんが割って入った。
「予想でしかありませんが、もうひとつの問題は、すぐに解決すると思います。」
山野さんは、にっこりと笑顔を張り付けた。
「メガ・・・いや、中島さん。」
「ひゃい!!」
突然、声を掛けられた中島くんが飛び上がった。
「君、甲斐くんにGPSを仕込んだね?」
ああ、これ、怒ってる・・・。
目の前に、雪原が見えた。
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