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変化2
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目が覚めると、鷹様は部屋にいなかった
なんとなく嫌な予感がしていそいでリビングへと向かう
『鷹様!』
そこには、ちゃんと鷹様がいて、まず安心した
だけどどうしようもない不安はまだ胸に巣食っている
よろよろとおぼつかない足取りでこちらに向かってくる鷹様に違和感しか抱かなかった
『ど、どうなさいました?』
「・・・美郷・・・。俺、は・・・っ。」
突然鷹様が泣き崩れる
『・・・・・・・・・。』
僕は、黙って先を促した
「俺は、お前を、失う。」
『・・・・・・?』
『あの、どういう・・・。』
よく言っている意味が分からなくて首を傾げると、鷹様は泣き顔を隠そうともせず僕を真っ直ぐ見つめた
それから慎重に口を開く
「俺はお前を手放す」
『・・・・・・・・・。』
僕はただ呆然と鷹様を見つめた
貴方はそれでいいのですか?
だって、僕はあの奴隷の人たちの身代わりで、唯一虐められる存在のはずで・・・
いや、それよりも
『僕は、あなたに捨てられたら、なにもできません。』
「・・・・・・・・・。」
僕はゆるゆると首を振る
今までどれだけ沢山酷いことをされてきたことか
でも、そうは言ってもここまで身寄りの無い僕を拾って育ててくれたのは紛れもなく鷹様なのだ
それでも、鷹様の表情は変わらない
「・・・お前は、俺といると不幸になる。」
『・・・そんなことっ!そんなことないです!!』
「例え俺にまた虐められてもか?」
『・・・・・・っ!』
僕は反論出来ず固まる
哀しそうな顔
そんな顔やめてくださいよ、こっちまで哀しくなる
どうしてそんな哀しそうな顔をするの?
「俺は、いつお前を傷つけるか分からない。・・・だから、お前を売る。」
『・・・・・・え?』
売る?
僕は、売られるの?
「そうするしかないんだよ。・・・お前は、また捨てられるとしたら、誰にも助けられずに野垂れ死んでしまう。」
『・・・・・・。』
「なら、売って、いい人に出会わせる。」
『・・・でもっ。』
「・・・もう、決めたんだ。・・・昨日のうちにもう決めてた。」
『・・・っ、』
だから昨日あんなにイレギュラーなことばかりだったんだ・・・。
もう、きまってたのか
しかた、ないよね・・・。
僕は、やっぱり、こういう運命なんだ。
また、なのか・・・
怖い
でも、信じなきゃ、始まらない
鷹様を、信じよう
・・・
貰い手は、とてもいい人そうだった
信じたい
けど、やっぱり不安は拭えなくて過去の記憶が蘇る
『ヒュッ、っ・・・』
「・・・美郷?」
急に全身に力が入らなくなってカクンと体が崩れ落ちた
カタカタと勝手に震えてきてどうしようもない
『っはぁっ・・・はぁっ・・・はぁっ・・・くっ・・・う・・・ぅ!』
「美郷!!美郷・・・!!」
息が、苦しい
こわくないこわくないこわくないこわくない
鷹様の優しい手が俺の背に乗り、優しく撫でてくれる
『は、はっ、は・・・、はっ、』
短く浅い不安定な呼吸が続く
くる、しい
鷹様がとても心配そうに背中を撫でてくれるが、僕の息はしばらく整えられなかった
なぜなら、前を前を見た瞬間、次の僕の貰い手の目がとても冷たく光っていたから
この人、怖い・・・っ
そう思った瞬間、僕は意識を手放していた。
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