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新たな出会い 2
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食事を終えて自室に戻る途中もずっと心臓がばくばくしていた
あまり食事が喉に通らなくて心配されるくらいには緊張していたらしい
『ぼく、どうしちゃったんだろ』
ベッドに腰掛け、天井を仰ぎみる
随分と伸びた自分の前髪でいい具合に視界が塞がれ、世界の光はぼくの目に入る頃には半減していた
その心地よい暗さがぼくに冷静さを静かに取り戻させた
きっと怖かっただけなのだ、あの人が
そうだ、だから緊張したんだ
そうやって自分に言い聞かせることでなんとか落ち着きを取り戻し、いつものように読書をしていた
のに
コンコン
控えめなノックの音が部屋に響き渡り、ぼくは静かに肩を揺らす
『ど、どうぞ』
裏返りそうになる声を抑えて返事をすると、ドアが開く
「失礼します」
『・・・!』
部屋に入ってきたのは平良さんだった
「先程調子が良くなさそうでしたので、少し休まれた方が良いかと思い、ホットミルクを入れてきたのですが、お召し上がりになりますか?」
平良さんの顔ばかりに気を取られて手元をみていなかったが、程よく筋肉の付いた腕から骨ばった手が生えていて、それはそれは綺麗だった
その手には湯気が細く出ているマグカップが握られている
まさか、自分がそんな気遣いをされる立場になるなんて思ってもなかったので、ぼくはしばらく考えた
これは甘やかされているのではないか
あの中には媚薬でも入っていて、この後ぼくに酷いことをするんじゃないか
あぁ、そうなら合点がいく
そうだ、ぼくなんかが気遣われてこんなに大切にされる筈が無いじゃないか
1人で納得して頷く
ぼくが考えている間、なにも口出しをせず、痺れも切らさず、ずっと静かに平良さんは隣に立ってくれていた
『飲みます』
ぼくのたった一言で平良さんの表情は明るくなった
あぁ、そうだ
これをぼくが飲むことが、平良さんにとって都合のいい事なんだ
程よい熱さのホットミルクを口にする
その間もずっと平良さんは立って待っていたので、ぼくは申し訳なくなった
『あの・・・』
「なんでしょう?」
目が合う
それだけでまたぼくの心臓はばくばくと音をたてはじめた
『どうぞ、座ってください・・・。座れるところなんてこのベッドしかありませんけど。』
ぼくが目を逸らしてそう言えば
「では、遠慮なく。」
と、ぼくの隣が軋む
さっきよりも激しくなる心音を無視することが出来なくなり、ぼくはホットミルクを一気飲みすると、ベッドに倒れたこんだ
「美郷様・・・?どうされましたか・・・?」
あくまで落ち着いた声で、でもその中に少しだけ不安を混ぜて平良さんがぼくの名前を呼ぶ
どうして・・・?ぼくを犯したいのならさっさとやればいいのに。どうしてそんな心配そうな声を出すの・・・?
初めてのことだらけで混乱したぼくは、なにも言えずにじっと平良さんを見つめていた
すると、骨ばった綺麗な手がぼくの頭を撫でる
「おやすみになられますか?」
ふっと微笑んだ顔が綺麗で、頭が思考を放棄した
こくん
と首を縦にふれば、優しく布団を掛けられた
「おやすみなさい。良い夢を。」
平良さんの口が紡ぎ出した言葉の意味が理解できなくて苦しい
どうして・・・。
ぼくの頭はただそれだけだった
でも、おやすみと言われたからにはいやでも寝ないと怒られる
そう思ってぼくは静かに目を閉じた
そのままどうしてを頭の中で繰り返すうちに、ぼくはいつの間にか眠りに着いた
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