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自傷
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『は、・・・っ』
自分の腕を掴む手の主を見て愕然とする
どうして、どうしてあなたが
「なに、してるんですか」
さっきまで見ていたとても落ち着いた雰囲気がなく、焦りと困惑が伝わってきそうなその表情に僕の方が戸惑った
『平良さん、どうして、ここに』
「俺の質問に答えていただく方が先です。」
キッパリと言われてしまえば従わざるを得ず、どうしても怖くなってしまったことを話した
話していくうちに自分でも自分が分からなくなって、途方もない暗闇に投げ出された気分になった
目の前が段々暗くなっていく
どうして平良さんが苦しそうな顔をするの・・・?
「息、ちゃんと吸って」
凛とした平良さんの声が響く
『ぁ、い、き??』
だけど僕はあまり正確に言葉を理解出来てなくて、手は震えるし、頭はぼーっとした
いき、いき、と頭の中で言葉を反芻する
「美郷さん・・・?俺の声は聞こえていますか?」
『・・・は、はぁ・・・っ、は』
きこえてるよ、きこ、えてる
上手く理解ができないな
また怒られちゃうかな
平良さんがなにか考えこむように眉を顰める
「・・・。強引ですが、失礼しますよ」
『・・・・・・?』
平良さんの口が何かを紡いだ後、僕の後頭部にゴツゴツして綺麗な平良さんの手が回される
そのまま頭を引き寄せられ
「・・・・・・っ」
『・・・!?』
柔らかいものが自分の唇にあたった
驚いて目を見開けば端正な顔立ちの平良さんがこれ以上無いくらいに近くにあった
キス、されてる?
廻らない頭で必死に考えて、そこで漸く気がついた
僕は、平良さんにキスをされていた
『・・・っん!?んぅ・・・!はっ!』
苦しくなって、恥ずかしくなって平良さんの胸を軽く叩けばあっさりと解放してくれる
「は、はっ・・・すみません。過呼吸になられてましたし、声が聞こえて無いみたいだったので・・・強行手段を取ってしまいました・・・。」
『ぁ、や、その・・・』
理解が追いつかない
気づけば視界はクリアで、頭もスッキリしてて、呼吸も落ち着いていることに気づく
だけど、反比例するように心臓はバクバクして、顔は燃えるように熱い
びっくりしすぎて声が出ない
「ごめんなさい。嫌でしたよね。」
嫌じゃないって伝えたいのに、思考回路がショートしてしまってただただ固まることしか出来なかった
平良さんが少し寂しそうに笑う
「出過ぎた真似をしてしまいました。落ち着いたようですし、俺はもう行きますね」
止めなきゃ
どうして僕は今こんなにもドキドキしているのかきかなきゃ
平良さんならきっと知ってるから
でも、僕の体は凍りついたように暫く動かなかった
キスなんか、初めてだった
こんな甘い気持ち、知らなかった
この甘さがまやかしだった時に備えて、痛みに慣れておく為に自分の体に1つ傷を付けた
唇から大量に血が流れる
でも、それもすぐに止まってしまって少し寂しくなった
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