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自傷 4
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「美郷さんが・・・て・・・血が・・・・・・!」
「・・・?」
お手伝いさんたちの慌ただしい声に不穏な言葉が混ざっていて思わず与えられた部屋を出て、仕事を放って美郷さんの部屋へ足を進めた
ノックも無しにドアを開けて中に入れば、美郷さんのベッドの周りに3人ほどの女性のお手伝いさんがいらっしゃった
近づけば皆どいてくださった
おかげで分かった状況は赤に塗れていた
床に散らばる血と、血で床を汚さまいとして敷かれていたと思われるくしゃくしゃになって捨ててある紙、眠っている美郷さんの服や手首・・・
全てに血がどっぷりとこびりついていて、とてもこの出血量で美郷さんが生きていると思えなくて顔を覗き込めば真っ青な顔で苦しそうに寝ている・・・いや、気を失っていた
今にも死んでしまいそうに見えて、怖くなって美郷さんの頭に自分の手を乗せる
あの過呼吸を起こされたときの口付け以来、これ以上嫌われるのが嫌でしばらく美郷さんに触れてなくて、触れるどころか話すらしていなくて、正直寂しかった
だから、こんな形でだけど、触れられたことが嬉しくて、でも思ったよりも低い体温に心配になって胸が色んな気持ちで溢れていると美郷さんが静かに目を開ける
でも意識が覚醒していないのか虚ろな目で虚空を見つめていた
そして一瞬嬉しいような、苦しいような顔で笑って、すぐに歯を食いしばって切なそうに美郷さんは言った
『離さ、ないで』
俺はもちろん驚いた
今まで我儘なんて言われたことなかったから
しかも、初めて言われた我儘がこんな小さなことで、その健気さに身震いがした
その身にどれだけの苦しみを詰め込んでいるのか想像が付かなくて、どうしてもその願いを叶えてあげたくて、俺は深く頷いた
(今居るのが俺でごめんな・・・後で誰か呼んでくるからそれまで我慢してな・・・)
どう考えても自傷行為をしていたとしか思えない美郷さんに聞きたいことは沢山あった
いつから?どうして?この間止めたじゃんか
だけど、それを聞けるほど俺たちはきっと仲良くない
だから俺は決めたんだ
もし、許して貰えるなら、美郷さんともっと距離を縮めよう
苦しいことは少しでも俺が減らせられるように
深いところまで踏み込めるようになるために
完全に覚醒した美郷さんは可愛すぎて俺は思わず瞼にキスを落とした
顔を真っ赤にして驚いている美郷さんがさらに可愛くて俺はとても幸せだった
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