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変化 2
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『分かりました、鷹さん。』
平静を装って了承の返事を返す
だけど、全然落ち着いてなんか居られなかった
怖くて怖くて仕方ない
だって、あの目を前に見た時・・・それは、酷く叩かれ、喉を締められ、熱を出したあの時
僕の声など全く届かず、まるで昔に戻ったかのように振る舞われるあの瞬間
怖くない筈がなかったんだ
だけど、この声には逆らえない
身体に刻み込まれた恐怖の過去が僕の頭を支配して逆らうなんて選択肢を奪う
テーブルの向こうに心配そうな顔でこっちを見てくる平良さんが見えて、だけど、無駄に心配掛けたくなくて僕は大丈夫だよ、というように微笑みかけた
平良さんの顔が悲しげに歪む
なにか言いたげに口を開いたけど、僕は見て見ぬふりをして踵を返した
部屋に戻る予定だったけど、このまま鷹さんの部屋に行くことにした
だって、1度部屋に戻ってしまったら、平良さんがいた空間に、嬉しさに触れてしまったら恐怖の部屋に向かうことができなくなりそうで・・・
泣きそうになるのを必死に堪え、止まりそうな足を、震える足を前に踏み出し、鷹さんの部屋までなんとか辿り着いた
鷹さんは多分まだ食事の場にいる
だから僕の方が先に部屋に着いてしまったけど、勝手に入って良いと言われているから迷わずドアノブに手をかけ中に入った
何処に座っていいのか分からなかったけど、もし叩かれるのなら、床が硬いと倒れた時に痛いな、なんて考えてとりあえずベッドの上に腰掛ける
なにもする事がなくて、鷹さんの部屋を見渡すと、机の上にある書類が目に入った
そこには【和音 美郷】と【平良 和人】の文字
なにか嫌な予感がして読もうとした所で廊下から足音が聞こえてきて急いで元のベッドの場所に戻って腰掛ける
と同時にドアが開いた
『・・・っ、鷹、さん』
あまりの恐怖に体が固まる
ベッドの上に僕を見つけると、鷹さんはなにも言わず、空虚な瞳で僕を見つめたまま、ずかずかと歩いてくる
そのオーラになにも出来ず固まっていれば、歩いてきた鷹さんにそのままの勢いで首を締められて後ろに倒れた
『・・・っ、ぁっ、・・・っ!』
苦しさに視界が滲む
本気でこの人は僕を殺しに来ている、そう感じていよいよ死を覚悟した瞬間、少しだけ力が弱められた
『・・・っ!は、はぁっ!は、はぁっ、』
急いで僕は息をして、次の衝撃に備える
少しだけ明瞭になった視界に苦しげに歪められた鷹さんの顔が映る
「なぁ、美郷ぉ・・・」
『っ、はい』
怒りを抑えこもうとしているような声色が降ってきて僕は身を竦めた
「俺たち、付き合ってるんだよなぁ・・・??」
まるで尋問だ
恐怖に支配された尋問
『はい、そう、です。』
「それなら!!!」
いきなり大声で怒鳴られて喉が引き攣る
と同時にまた思いっきり首を締められる
今度こそ息ができない
「なんで最近あんなに平良と仲良さげなんだ・・・?」
『・・・っ!』
「なぁ、平良に恋したか・・・?」
「平良の方が優しいもんな・・・?」
「こんな酷いことしないしな???」
息が出来なくて視界が段々暗くなる
鷹さんの言うことも怒る理由も最もで・・・
だって、僕は世にいう浮気をしているってことだから
「なぁ、答えろよなぁっ!!!」
『ぅ、ぐぇっ・・・っ!』
グチャ、と喉が潰れる音が聞こえるくらい締められて僕はいよいよ意識を失った
薄れる視界の中で見えたのは、慌てた様子でドアを開ける平良さんの姿だった
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