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秘密の過去
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『ほ、本当にこの人が平良さんのお姉さんなの・・・?』
「ん?どうしたの美郷、なにか不安になっちゃった?」
僕が情けない声を出すから、平良さんは心配そうに声をかけながら僕の背中を摩ってくれた
うれしい、その手の温もりはすごく嬉しいけれど、今はそれどころではない
『僕、このお姉さんのこと知ってるかもしれない』
「・・・・・・え?」
『僕が死にかけた時、僕の回復を手伝ってくれたのは今のお姉さんの声なんだ。・・・ねぇ、平良さん。教えて?どうして僕の意識の中に平良さんのお姉さんがいるの??』
どことなく嫌な予感がして平良さんに縋り付く
平良さんはグッと唇を引き結んで何かに耐えるように眉を寄せていた
「ごめん。心当たりは確かにあるけど、確信はないんだ」
明らかに感情を1つ噛み殺したように僕に笑いかける平良さんに心臓がぎゅっと握られるような心地になる
どうして僕のことは心配するのに、自分のことは優先してあげないんだろう
どうして苦しいって言わないんだろう
「美郷・・・?」
『・・・っ、平良さん。僕、貴方が今辛い気持ちでいることくらい分かるよ!だから無理して笑わないで。お願い、僕だけを気遣うんじゃなくて、平良さんのことだって気にかけてあげてよ』
「・・・・・・。」
何も言わない僕を覗き込んできた平良さんのほっぺたを両手で包んでそう捲し立てると、平良さんは気まずそうに目を逸らした
すごく悲しい気持ちでいっぱいになるけど、平良さんにも何かそうする理由があるんだろうって思ってなんとか心の中で踏ん張る
「・・・美郷の言う通りかもしれないね。ちょっとだけ時間を貰ってもいいかな?頭の中を整理したくて」
『うん、いいよ。大丈夫だよ。・・・ごめんなさい、辛いことを思い出させてしまって』
「いいんだよ、いつか話さなくちゃいけないとは思ってたから」
『・・・・・・っ!』
最後のワンフレーズで何か重要なことが僕と、平良さんのお姉さんの間にはあるってわかってしまった
あぁ、どうしよう
この流れで良いことなわけがないんだ
どうやって真実を受け止めたらいいんだろう
僕は、重たい足取りで平良さんが出ていった扉をただ見つめて待つことしかできなかった
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