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秘密の過去 2
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それから3日間、僕と平良さんは何事も無かったかのように関わりあった
部屋に戻ってきた平良さんは「ごめんね、もう少し時間が欲しいからいつか言うよ・・・必ず、必ず話すから今は許してほしい」と申し訳なさそうに頭を下げた
僕は慌てて顔をあげさせて抱きしめたんだ
だってあまりにも平良さんが辛そうだったから
今まで平気そうに振舞っていたけど、平良さんはただ取り繕っていただけなんだと漸く気づいた
きっと彼はまだお姉さんの死を乗り越えていない
何事もないまま3日過してお昼ご飯を食べ終わった時、ふいに平良さんが僕の腕を掴んだ
まるで「行かないで」って言っているような弱々しい力加減に僕は察する
あぁ、これから話してもらえるんだって
「最初に言っておきたいのは、お前自信を責めないで欲しいってこと」
『・・・善処します』
「ふは、よろしく頼むよ」
平良さんは2人がけのソファに座って僕も隣に座るようにポンポン、と軽く隣を叩いた
言われるがまま隣に座ると、すぐに絡められる指
平良さんの手、すごく冷たい
きっと緊張しているんだね
「あ〜、どこから話したら良いんだろう」
『どこからでも。僕はもう心の準備できてますから』
「ふふっ、そっか。ありがとね」
平良さんは俯いた
だから僕も俯いた
どうせ目が合わないのなら同じ体勢でいたかったから
「俺の姉さんね、事故だったんだ。交通事故・・・姉さんは何も悪くない、ただ歩道を歩いてただけだった」
『てことは・・・車が突っ込んできたってことですか?』
「うん、その通り。・・・飲酒運転だったんだ」
「姉さん!!姉さんしっかりして・・・!!」
目の前が真っ赤になる
さっきまで2人で仲良く散歩してたのに、気づいたら俺は突き飛ばされて姉さんの体は血だらけになっていた
「お願い姉さん・・・目を開けて・・・」
俺の口からは弱々しい情けない声しか出てこなくて
これが現実だなんて信じられなくて
段々と上がってくる息を落ち着かせるように姉さんの手が俺の手を握った
「和人、」
姉さんの口がそう動くのが見えた
俺は弾かれたように傍にいって耳を姉さんの口に近づける
「私もう駄目みたい・・・でも、和人を守れてよかった」
「姉さん・・・っ!駄目だよ、そんなこと言わないで!」
「ふふっ、最後まで弟と仲良くできて幸せだな・・・」
「姉さん!」
「鷹さんを、お願いね」
「・・・え?」
「あの人はすごく脆い人だから、支えてあげないと」
それが姉さんがハッキリ発した最後の言葉だった
ぐちゃぐちゃの体で姉さんは病院に搬送され、約半日苦しんだ後心臓を止めた
「いたい」「ころして」「ごめん」「ありがとう」そんなことをうわ言のように繰り返していた
「姉さんと和音さんさ、恋人同士だったんだ」
『え・・・?鷹さんが??』
「そう。もう籍を入れることも決めてたみたい」
『そんな・・・』
「和音さんさ、元々孤高の存在みたいな取っ付きにくい人だったんだ。誰にも心を開かなかった・・・でも、それを姉さんが変えたんだ。すごく明るくて沢山の人を助けるようになった。ほら、美郷が解放した人達いたでしょ?あの人達もさ、人身売買されてたのを和音さんに助けられた人たちなんだよ」
『そ、んな・・・!だって、鷹さんはもっと荒れてて酷い人だった!』
「姉さんを失ったショックと、轢いた人達があまりにも最低な性格だったからだろうね。人を信じられなくなったんだと思うよ」
『そう、だったんだ・・・』
自分がしたことは正しかったんだろうか
あの人たちを解放したことを後悔はしてない
だけど、あの人たちはつまり身寄りのない人たちだったってことだ
僕が解放したことによって困ってないだろうか
苦労してないだろうか
それに、鷹さんがそんな人だったなんて知らなかった
僕、あの人を傷つけるような言動をしてなかったかな
大丈夫かな
「それでさ、1番話さなくちゃいけないことがまだ残ってるんだけど」
『・・・?なんですか』
「その、轢いた人達・・・賠償金とか一切払ってくれなくてさ。お金で解決する命じゃないけど、でもせめて謝罪の気持ちで払って欲しかったなって」
『そんな・・・酷い・・・』
「挙句の果てには"お前の姉さんが勝手に轢かれた"とか言い出したんだ」
『・・・・・・最低・・・。でも、どうしてそれを僕に1番話さなくちゃいけなかったんですか?』
「・・・・・・。その人達さ、夫婦で小さな子供がいたんだ」
『・・・・・・?』
「その小さな子供が・・・美郷、お前だったんだよ」
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