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* Sweet.1 *
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× × ×
1年、2年と6クラスある中で茅野と同じクラスになったことはなく、最後の年でようやく一緒になった。
2年のときに仲良くなった寺沢も加わり、毎日が賑やかで楽しい。
その日の夜、夕里はメッセージ送信欄の文字列を打ったり消したりしていた。
「嫌いじゃないです。やっぱり好きです? 好き好き好き好き……」
──何やってるんだ俺……。
予測変換で出た文字を面白半分で繰り返しては、送信ボタンを押す前に全部消す。
どこかの恋愛ソングみたいに、意味のないことをするなんて、茅野と付き合うまでは思ってもみなかった。
「兄貴、入るよー」
「うひゃう……!?」
ドアの向こうから不意にそんな声が聞こえて、手に持っているスマートフォンを落としそうになった。
「バカ……! 急に声かけんなバカ」
「勉強頑張ってるかと思って、せっかく差し入れ持ってきたのに。母さんから。遊んでるならいらない?」
「いただきますぅ……」
弟の千里はスマートフォンを目敏く見つけてしまう。
運ばれてきた皿からおにぎりを引っ掴むと、大口で平らげた。
以前は甘いものしか食べられなかった夕里も、茅野の実家の惣菜をきっかけに少しずつ、食べられるレパートリーを増やしている。
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