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* Sweet.1 *
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──というか! 俺が茅野をめろめろにするはずじゃん!
付き合いを始めてから逆に意識し過ぎていて、ちょっと身体が触れただけでびくびくしていた。
茅野が嫌なのではなくて、秘密にしている関係を知られてしまったら……と、ずっと不安だったのだ。
……別に俺だって、ちょっとくらい、好きなやつに自分のしたいこと、してもいいよな?
筆箱に手を伸ばすふりをして、両手で茅野の髪をくしゃくしゃに乱してやった。
やられてばっかりだった夕里の思わぬ反撃に、面食らっている。
「めろめろになってるから隙だらけだったぞ。仕返しー」
わざと意地悪くにんまり笑って、シャーペンと半分に割った消しゴムを貸してやる。
どうだ、憧れの茅野にここまで出来ないだろ。
俺と茅野の仲だから出来るんだぞ、と女子達にちらと視線を送った。
「……ちょっと。可愛過ぎ」
「え、何て?」
ぼそっと呟いた言葉は、夕里の耳には届かなかった。
「ええぇっ!? 何今の! ねえねえ、可愛過ぎない?」
「やば、私らもめろめろになりそうー」
「はあぁ? 可愛くないいぃ!」
羨ましがられるどころか、「可愛い」の集中砲火を浴びせられ、夕里は憤る。
ぎゃんぎゃん喚いても、割り増しの「かわいー」で返ってくるし、全く悪意のない返事を憎めない。
──あいつ、さっき何言ってたんだろ。
どうせろくでもないことに違いない。
ふふん、と笑って前の席にいる茅野の背中を見つめる。
半分こしてギザギザになった消しゴムの面がなだらかになるように、夕里の心のギスギスしていた感触も触り心地のいいものになった。
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