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はち
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「そういえば会長って家どこですか?」
「んーどこって言われるとムズいけど、高層ビルかな」
「冗談ですか?高校生で高層ビル住居はさすがに嘘ですよね………え?」
「俺が嘘を言うとでも?」
「思わないですけど…え、本当に?」
「そうだよ」
「まじか……凄い、ですね」
あの冬弥先輩と幼なじみで仲良いんだから会長も良いとこの出なんだろうなとは思ってたけど…高校生でビルって、どんな生活だよ、、
「冬弥に比べればマシだろ」
「いや、冬弥先輩は次元が違います」
そんなたわいもないことを話す。
「あ、俺の家もう近くなんで」
わざわざ家の前まで来るのも変だろと思って家の近くのT字路で別れようとしたら
「家まで送るって」
そう言って俺の腕を引っ張る。
「へっ?!いやいや大丈夫ですって!」
さすがに天下の会長様にそこまでさせるわけにも行かないんですって!!
俺が女子にピーされる!!
「俺が個人的に着いていきたいだけだから気にすんな、ほら」
そう有無を言わさぬ目で言われてしまったからにはもう、従わざるを得なかった。
別に空がめっちゃ暗いとかじゃないし、そもそも俺、男だし…
送って貰う理由なんて何一つないのに。
それでもこの大きな背中の後ろに居ることに安心感を覚える。
「あ…家ここなんで、ありがとうございました」
別に間に会話があった訳じゃないけど、いつもより早く家に着いた気がする。
「ここか…ん、じゃあまた明日な」
そう言って会長の手がまた俺の頭を撫でる。
その手が優しくて、くしゃくしゃになった髪なんて気にならなかった。
「…はい、また、明日」
下を向いて言うのが精一杯だった。
皆の憧れの生徒会長が俺のためにこんなに遠回りをして送ってくれたことに喜びを覚えたのかもしれない。
夕焼けに染まる顔はいつもより赤かった。
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