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じゅうきゅう
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「ならまた大人しくしてろよ」
「…してますよ、っ!」
背中を向けて職員室へ歩いていく会長。
その姿を追いかけたい衝動に襲われて1歩踏み出した時、床がギィィと鳴って我に返った。
「…ッ、は…なんで俺、追いかけようなんて…」
俺、最近変だ。
どんどん思考が毒されていく。
あんなにかっこいい人の景色に俺が写っていたってことにこんなに心踊らされる。
俺を全部知り尽くしていると言ったその表情がループ再生してるみたいに頭に何度も思い浮かぶ。
今まで雅也のことを考えていた時間がどんどん会長になっていく。
こんなのダメだ、おかしい、そもそも会長には心に決めた人が…
そう思うのに、馬鹿な俺の体は会長に想われたいなんて願う。
あぁ、きっと。
そうなんだ。
きっと俺は…_
「…俺、さいてー……」
この間まで雅也が好きだったのに。
たった数日で他の人に乗り換えなんて、幻滅される。
会長にも、嫌われる。
「…隠さなきゃ」
嫌われる前に、まだ俺の気持ちが雅也に傾いているように、演じなきゃ。
「俺、もっと一途だと思ってたんだけどな」
こんなにすぐ他に好きな人ができるなんて、だめだ、俺、自分のこと嫌いになりそう。
「はぁ…」
…会長の好きな人って誰なんだろう。
そもそも会長はゲイなんだろうか。
それともたまたま好きな人が男だった?
俺を見てくれる可能性は?
好きなタイプは?
「馬鹿らし……」
こんなこと考えたって、会長の好きな人が俺じゃないことは明白で。
だって俺なんて、いっつも会長に可愛くない態度ばっかとって、最近になって生徒会室に入り浸るようになって会長の邪魔して、その癖さっきは目の前で"ほかの男が好き"って告白しながら泣いて。
そんな奴好きになる奴いないだろ。いないよな…
そんなことを考えていたら足跡が近づいたのがわかったから何事も無かったかのように無表情でソファに座った。
「おーい類、今日は別段片付けなきゃいけない書類とかもねぇんだけど暇だったら横の仮眠室使っていいから」
「あ、はい」
そっか、今日は会長と話すこと何も無いんだ。
なら会長は今から何するんだろ?
「なら、会長は何するんですか?」
「ん?ああ理事長から体育祭の弾幕を頼まれてな。今から買い出しだよ」
弾幕って、確か…
==
1年前
「おいここだよここ!俺が行きたいとこ」
その日俺は雅也に連れられてある学園のオーキャンに来た。
なんでも今日が体育祭の日らしく、どうして体育祭にオーキャンが開かれてたのかは知らないけどどうしても行きたいと駄々を捏ねられて渋々ついて行った。
「うっわアレやべ!!でっかくね!」
そう言う雅也の目線の先には、校舎の端から端までを繋いでいる弾幕があった。
そこには大きく筆で
"一蓮托生"と書かれていた。
==
俺も珍しくかっこいいと思った記憶がある。
でもあんな大きい横断幕、1人で買いに行くのは…
「俺もっ!行きます」
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