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にじゅう
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「ふっ…いいよ、おいで」
また俺に王子様みたいな笑顔を向ける。
確かに高鳴る胸に見て見ぬふりをした_
「はっはい!」
==
「それで具体的には何を買えばいいんですか?」
俺たちは学園を出て近所の大型ショッピングモールに来ていた。
「とりあえず紙だろ?後は校舎に結びつける為の紐に、黒ペン何本か買えばいいだろ」
「筆は買わないんですか?」
俺の記憶だと筆で書いてたような…
「あぁ〜あれ別に筆で書いてるわけじゃねぇよ?普通の黒ペンで筆風に縁どって中塗りつぶしただけ。まぁ近くで見るわけじゃねぇからバレないしな」
「あ、そうだったんですか…」
なんかちょっと残念。
「じゃあ類は紐探してきてくれるか。長ければ長いだけいい、ロープとか丈夫そうなのな」
「あ、分かりました。それじゃあ…」
見つけたあとどこで落ち合おうかと辺りを見渡す。
「あそこのベンチで俺待ってます」
遠くの方に休憩出来そうなベンチが見つかったからそこで待ち合わせようと提案した。
「わかった、なら後でな」
「はい」
よし、そしたら…紐ってどこに売ってるんだ?
「んーDIY用品とか行ってみるか」
_数十分後
「終わってしまった…」
何分俺の買い物は紐ひとつだけだったから直ぐに終わって、今は約束したベンチに座っている。
学園から直で来たからスマホも持ってないし…暇だなぁ
会長まだかな。
「…え?」
会長を待ってるだけだと暇だから辺りをそれとなく観察していたら見てしまった。見たくなかった。
「雅也…と彼女」
そこには楽しそうに笑いながらデートをしている雅也と彼女が居た。
学校休んで何してんだなんて怒りで誤魔化してみたものの、明らかにぼやける視線。
あぁ、まだ好きだったんだ。なんて呑気に思う。
もし、もし、どこかで選択を間違っていなかったら
あそこに居たのは俺だったりしたんだろうか。
雅也と笑いあって、デートして、そういうこともして。
そんな未来がどこかにあったのだろうか。
ポタっと涙が溢れて、でも雅也の顔をもう少し見ていたくてまた顔を上げたら、もうそこに2人はいなくて。
俺は傍観者だったんだと、思い知った。
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