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にじゅうご
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「…お前、また暗い表情なってんぞ」
「え?そうですか?」
自分の頬に手を当てると、笑ってるつもりでも口角が上がっていなかった。
どうして上手く繕えないんだと自分を責め立てる。
「疲れてんだろ。早く休め…後もうちょっと気抜いてもいいんだぞ。先輩にぐらい甘えろっての」
ッ!何それ…
気抜いたらきっと言ってしまう。
甘えたらもっとって欲張りになってしまう。
「…なに、先輩ずらしてるんですか…」
こんな悪態しかつけない俺をどうか許して。
「実際、先輩なんだよ」
時刻は午後6時。
会長はお邪魔して悪かったなって言ってついさっき帰っていった。
その背中が見えなくなるまでずっと、ずっと、見ていた。
「はぁ…辛い」
俺と会長が…なんてそんなことを考えるのは何度目だろう。きっと数回にも満たない、今までずっと我慢したきたから。
でも、会長と好きな人が上手くいくように、と考える度に隣を歩くのは俺がいいなんてよぎる。
明るい蛍光灯に照らされてるはずなのにどんよりと心は黒くなる。
「誰なんだよ…」
好きな人の、好きな人。
きっと会長が夢中になる子だから、
身長も150~160cmくらいで
目がくりくりしてて
ふわふわした笑顔で
『優真先輩っ!』って可愛い声で
言える子なんだろう。
俺と言ったら
身長は170cm越えで
目はくりくりなんてしてないし
先輩の前じゃ緊張して笑えないし
無機質な声で『会長』と
呼ぶことしか出来ない。
共通点なんてどこにあるって言うんだろう。
早く、見つけ出して。
とっととくっ付いてもらわないと。
もう、結構限界だ。
「会長…」
その声は誰にも届かず朽ちていった。
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