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にじゅうきゅう
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「それにしても可愛い子だったなー、俺正直もっと性格悪い奴かと思ってたわ」
「俺も」
俺たちが2人してそういうのには訳がある。
あれは数ヶ月前…
まだ海斗と仲良くなったばかりの頃。
雅也がラブレターを貰ったと大はしゃぎしていた。
まぁ当然俺は嫌だったわけで、
無反応を貫き通していた。
海斗は興味津々で、手紙に書かれている日時に俺も着いていく!と言い出した。
俺も告白の場面なんて見たくないけど雅也が心配でついていくことにした。
時間通りに雅也は着いて、俺たちは木陰で隠れて様子を伺っていた。
そしたら、女の方が
なんだ、本当に来たの?
って笑いながら雅也に言った。
その時どういう意味がわからなくて
でもその次の言葉で全てがわかった。
雅也くんに手紙出したら類くんを来てくれるのと思ったのに〜
あーあ残念。
…え、
辺りはシーンとして、誰も声をあげられなかった。
その沈黙を破ったのは女。
あ、雅也くんごめんね?でも類くんいないならもう用ないし帰っていいよ!
わざわざありがとー
こいつは、俺を呼び出すために雅也をだしに使ったのだ。
俺のせいで悲しんでいる雅也を見ることが出来なくて、
でも雅也を囮にして雅也を悲しませた女も見たくなくて、
俺は下を向いているばかりだった。
何秒かして、そうか、と一言小さく言ったあと雅也はとぼとぼと俺たちの横を通って校舎へ戻っていった。
俺と海斗は追いかけることしか出来なくて、でも、そんな空気が重たくて痺れを切らしたのか海斗が口を開いた。
「ま、まぁこういうこともあるよ、、ね!あんなやつのこと忘れてさ!次の恋に走ろーぜ!!」
「…ッそうだよな!!あーあ本気にして損したわ!!!」
大声でそう叫んだ雅也の顔を俺たちは忘れることが出来ない。
いつも俺たちを笑かしてくれていた雅也の傷付いた顔が…
だから、俺たちはもう雅也にあんな目には合わせないと固く誓った。
「でも…良かった。今度の彼女は優しそうだな」
「あぁ、本当に良かった」
雅也、お前のこと俺たち心配なんだよ。
お前は人がいいからすぐに騙される。
でも、もう大丈夫なんだな。
もう、お役御免だ。
「海斗、食べに行かない?」
「お!いいねー!」
おめでとう、雅也。
心からそう言えるよ。
幸せに、ならないと許さないからな。
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