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さんじゅう
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…てな具合で、俺の雅也への恋物語は終了を迎えたわけだけど、
「類、これお願い」
…問題はこっちだよ。
「分かりました、何部刷ればいいですか?」
「とりあえず……」
今日も今日とて、俺たちは先輩と後輩。
会長もあれから、自分の話をすることが減った気がする。
つまり会長の好きな人のヒントが減ったということで。
…今度の恋は、いつ終わるんだろう。
「会長、今日冬弥先輩と弥生先輩はどうかしたんですか?遅いですけど…」
いつもならもう会議が始まっていい時間。
なのに…
「弥生が風邪ひいたらしくてな、冬弥はそれの看病で休んでるって」
「……そ、ですか」
え、え、つまり、それって…
ふ、2人きり?!?!?!
え無理。無理すぎる。
どうしたらいいの、
「…なにお前、今更緊張してんの」
「してませんし…」
「ふーん、ほんとに?」
そう言ってニヤリと笑う会長の目に全て見透かされている気がして身震いした。
「ッ、ほんとです!!も、揶揄うの辞めてくださいよ!」
自分でもいつもみたいな対応が出来てないのがわかった。
会長の言葉なんてサラッと右から左に受け流せばいいのに、今までもそうしてきたのに。
「なぁ、お前好きな奴とはどうなったの」
突然のその言葉に自分らしくもなく肩がビクッと反応した。
「…もう完璧に諦めがつきました。自分でもびっくりです、あんなに引きづってたのに…」
そう、本当にびっくりだった。
どうしたってここから抜け出せないんだと半ば諦めていたのに、会長に…会長が俺の心を占めてから恋に発展するまで瞬きみたいに一瞬で。
叶わないけど、いつかあんな後輩いたなって思い出される存在でしかないけど、でも止められない。
やめようとも思わない。
「そうか、いっそ俺に惚れるか?」
「…大丈夫です」
もう、既に惚れてるので。
なんて言えないけど、。
「ふーん…なぁちょっとこっち来いよ」
会長はそう言って手招きで俺を呼ぶ。
照れくさくて、だけど従わないわけにもいかなくて足裏を床につけながらすり足で近づく。
「なんです」
「俺が前にここで見たい景色があるって言ったよな」
「え?あぁ、はい」
突然、何の話かと思ったら…なんで急にそんな。
「なんだと思う」
「はぁ?クイズ、ですか?」
どうしていきなりクイズなんか、、
「まぁそんなものかな」
疑問には思ったけど、会長が何だか儚げな瞳を窓の向こうに向けるから
どうしてかそれ程までに会長の心を奪った景色に興味が湧いて、いや、嫉妬…したのかもしれない。
クイズに答える気になった。
「…普通に空、とか」
「そんなんに俺が夢中になるわけないだろ」
会長から聞いてきたくせに…!
「じゃああの裏庭の木とか」
「ぶっぶー!全然ちげー」
「…もうじゃああの教室です」
会長の言い方にちょっとだけムカッときて冗談半分でそう言ったのに
「お、正解」
「………え?」
…何故か当たってしまった。
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