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さんじゅうに
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暫く、沈黙が続いて、やっぱり俺の勘違いだったんだと気付いた。
「っあ、あの!ごめんなさいそんなわけないですよね、はは、ほんと何言ってるんでしょうね自分…」
穴があったら入りたい気分…
もう最悪、、勝手に妄想して勝手に落ち込んで、会長の嫌いなめんどくさいタイプじゃん俺、。
「…本当にお前は何でそっち行くかな〜」
会長がそういったことに気づいたけどそれよりもうこの空間にいることが居た堪れなくて逃げようとしたらパシッと腕を強い力で掴まれる。
「ひっ…あ、あの……」
引き止めた理由がわからなくて、でも逃げたくて、顔を上げることが出来ずにいた。
「…正解、よく出来ました」
………え?と一瞬何を言ってるのか分からなかった。けどそれが問題に対する正解だと気付いた時、最初に浮かんだのは有り得ない、だった。
「嘘、ですよね?…か、揶揄うのもいい加減にしてくださいよ、だってそんなわけ…っ!」
「あるから言ってんの」
頭上から届くその声の主はいつもみたいに少し冷たい声色で、だけどどこか照れが入っている気がして怖くてあげられなかった顔を上げた。
「っえ…な、なんで会長がそんな顔するんですか、、」
その目に映る人は右手で俺の腕を掴みながら、左手で自身の顔を隠してまるで照れ隠しかのようにそっぽを向いていた。
「うっせ…あっち向いてろ」
きゅぅぅぅん、と胸が締め付けられるのが分かる。
…これは、都合のいい夢なのかもしれない。
もしかしたらただの妄想で、今こうして腕を掴まれているのも、会長が照れているのも、全て現実ではないのかもしれない。
それでも、それでも…
「…し、っ信じて…、いいん、ですか?」
夢であるならしがみつきたい。
夢であるなら本当だと思いたい。
「あぁ、信じろ。俺を」
…もう、ダメだ。
溢れる、全部溢れる。
「ッ好き、です…ッ!かっ会長の、ことが…す、きで好きで、苦しかったッ…!」
男の泣き顔なんて見るに堪えないのに、会長は優しくそうか、ごめんな、って言って頭を撫でてふわりと抱き寄せた。
「類ってあんまり顔に出さないから余計に揶揄いたくなって…ごめん。でもお前が生徒会入ってからずっと俺は、類しか見てねぇよ」
また、そんな歯の浮くようなセリフ言って…!
でも、嬉しい、好き。
「俺っも、会長のこと好き…大好き」
「知ってる、ばーか」
帰り道、俺は会長と二人で帰った。
そのこと自体は初めてじゃないのに、先輩と後輩じゃなくて恋人として帰るだけで景色がいつもより5倍は綺麗に見えた。
「なぁ、類」
「は、はい!」
「緊張しすぎ…で、俺のことなんで名前で呼ばないの」
「え、は?だ、だって…俺と会長は先輩と後輩で…」
ついさっきまで両想いなんて考えもしなかったのに…
そんな急に…無理ですよ!!
「それはさっきまでだろ。今は?」
「………恋人、です」
「はい、そう。じゃあ俺の名前呼んでみ。それとも俺の名前知らないとか言わねぇよな?」
「も、もちろん知ってますよ!!えっと…櫻井優真、先輩」
「違う、名前で呼んで」
じりじりと会長が詰め寄ってきてついには壁に背中が当たり、いわゆる壁ドンみたいな姿勢になってしまった。
言っても、いいのかな。
「ゆぅ、ま先輩…」
「…ま今はそれでいいけど」
無理無理無理無理!
恥ずかしくて死にそう、、
「なぁ類」
「なんで、ふか……ってあ?!」
噛んじゃった、、
「ふっ噛み噛みじゃん」
「わ、笑わないでくださいよ…」
隣で笑うかいちょ……優真先輩は塩対応って言われる俺の言葉に笑って、反応して、挙句には好きって言ってくれた。
どれだけかかるか分からないけど、その恩を返していきたい、と思う。
「類」
「なんですか?」
また歩き始めた途端、優真先輩が名前を呼ぶから立ち止まって優真先輩の顔を覗き込む。
「俺、付き合ったら意外と甘くなるタイプらしいから覚悟しとけよお姫様?」
そう言って優真先輩は俺の手を取り手の甲にちゅとキスを落とした。
その突然の行動に頬や耳、顔全体が赤く染まるのがわかる。
「……ッ!!」
な、な、な、なに、何してるんですこの人は?!
ぱくぱくと口が開いては閉じ、阿呆な顔を彼に晒しているのだろう。
だけどもうどうしていいか分からない。
「…間抜けな顔」
「………い、いや!そんなのか、か、会長が悪いんじゃ、ないですか!!」
「まーた会長呼びに戻ってるし、別にキスしたわけじゃあるまいし」
「き、き、キスしたも同然です!!!」
「じゃ慣れような、これから」
_そう言ってまた不敵な笑みを浮かべた優真先輩に俺はまだまだ振り回される気がします…。
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