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「いきなり呼び出しておいて、ひどくない?」
「真っ先に言うことがそれかよ。」
高尾に笑いかけた。
「ちょうど片付けてたから良かったものの、何よあれ。」
「危機的状況だろ?」
目黒駅近くのテナントに開業した、たかお消化器内科クリニックの高尾は、同期のひとりだ。
もともと家が医者の家系だ。
長男が実家の病院を継いで、妹である彼女は独立した。
「なにあの変態は。」
「俺も知りたいよ。遠野内科の事務長らしい。」
高尾は顔を顰めた。
「高尾の関係で詰めれるか?」
「遠野内科って、消化器系の遠野よね?」
「だな。」
ブツブツと文句を言いながら、高尾は腕を組んだ。
「任せて。」
高尾は、面倒見の良い姉御タイプだ。
患者として訪れた甲斐くんを気に入ってもいる。
松島のストーキング行為は、社会的なもので縛っておかないと再発するだろう。
そして、それは職場を追い出すことでは解決しない。
追い出してしまうと、かえって抑止の力が無くなる。
全てを失った者は、腹を据えてストーキング行為を始めるだろう。
だから、チクリと針を刺す。
その塩梅は、大切だった。
「あれは恋するオトコじゃないわね。美しくないわ。」
「地獄の底から絡めとろうとする蛇だな。」
激しい球のやり取りに、会場は盛り上がっている。
「やっちまえ!」
「頑張って!」
みんな、甲斐くんを応援していた。
と、甲斐くんが揺さぶられた。
左のサイドラインに落ちた球を、危うく返したその瞬間、ガラ空きの右のサイドラインに向けて、次の球が放たれたのだ。
カンッ!
・・・あっ!!
落ちるッ!!
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