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球は、微妙な場所に当たって落ちた。
アウトとも見えるし、インしたとも見えた。
カンッカンッカンカンカン・・・。
転げて行った先は、ずっと間近で試合を観ていたカップルだ。
そのふたりは声を上げた。
「サイドだ!!」
興奮した。
サイドということは、甲斐くんの勝ちだからだ。
あのふたりが言うなら間違いない。
そして、ギャラリーも勝利に盛り上がった。
「すごいね、大吾。あの人勝ったよ!」
「にぃちゃ、ぎゅー!」
横にいた小さな弟を連れて来ていた子も、喜んでいた。
兄の首に掴まったその小さな手と、愛くるしい顔に癒されながら、山野と高尾は連れ立ってヒロインの元へ向かおうとした。
その瞬間、怒号が響いた。
「待て!今のはエッジだ!!絶対、端に当たっていたはずだ!」
喜びに沸いていたギャラリーは、負けを認めないボケ野郎に目を見張った。
あろうことか、カップルの男性の胸ぐらを掴んだからだ。
「お前、嘘言っただろう!!」
あれ、ヤバイ。
目がイッている!!
「高尾、持ってて!」
腕に掛けていた白衣を高尾に渡すと、クソ松島のところへ走った。
「言うわけない!離せ!」
連れの女性は顔が真っ青だ。
松島の迫力に、会場は静まりかえっている。
「うるさいっ!」
胸ぐらを掴んだまま振り上げた腕。
上体を逸らしたその不安定な姿勢を見て取ると、俺は思いっきり膝を蹴り上げた。
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