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「ふ、婦人警官?!」
甲斐くんが、素っ頓狂な声をあげた。
「似合います?」
ペロッと舌を出した寺田さんは悪びれずに、くるりと回って見せた。
「ちょっと待って待って待って!!」
大慌てのパニックに陥った甲斐くんの気持ちがよく分かる。
だって、本当、
「・・・何その格好。」
脱力した。
バッティングセンターで仕込んだ事は、ふたつ。
ひとつは白衣を脱いだ高尾に、甲斐くんを追って行く人物がいるか確認してもらった。
ふたつ目は、寺田さんになるべく強そうに見える人物を、甲斐くんのアパートに向かわせて欲しいと依頼した。
甲斐くんのアパートは、山中さんが知っている。
彼に連れてきてもらい、犯人が現れた時点で連絡し、突入してもらうよう考えていた。
戦闘は、戦略と戦力が鍵だ。
戦略は俺が立てて、戦力は数を揃える。
数は少ないより多い方が効力があがる。
確実に仕留めるには、屈強な人物を揃えることが重要だった。
なのに・・・。
「え、だって強そうな人を連れてきてって言われたじゃないですか。だから、ちょっと変装してきました。」
全身の力が抜けた。
久しぶりに泣きそうになった。
さっきのコショウ男は犯人ではないと甲斐くんは言うし、寺田さんは悪ノリしすぎている。
「・・・山中さんは?」
「中山課長は、外で見張ってますよ。私、間に合いました?」
ズキズキする。
めちゃくちゃ頭がズキズキした。
「山野さん、何をお願いしたの?」
甲斐くん、俺も分からなくなってきた。
もしかしたら犯人は、まだその辺にいるかもしれないし、
「・・・しかも連絡してから突入してって言ってたでしょうに。」
自然に声が小さくなった。
「そうなんですけど、ご挨拶しとこうかとも思って。」
このクソボケ。
アホ、バカ、トンチンカンめ!
甲斐くんは俺に聞くのを諦めて、寺田さんに質問をしている。
「えっと、寺田さん。とりあえずよく分からないんですけど、課長の他に誰かいらっしゃるんですか?」
「いいえ、私の知ってる強そうな人って、皆さん本職の警察官なんですもの。色々考えたんですけど、課長とふたりで頑張りましょうってことになりました。」
聞きながら、自然と拳に力が入った。
「あー・・・。そこのお嬢さん。」
笑顔の寺田嬢に、イラッときた。
「はい、なんでしょう。」
とはいえ、か弱い女性を危険な目に合わせるわけにはいかない。
そうそうにお引き取り願おうと、萎えた足に力を入れて立ち上がった。
と、甲斐くんの携帯が鳴った。
チラリと見ると、甲斐くんは無表情で着信をブチ切った。
セールスかな?
そう思って寺田嬢に向き合った瞬間、脱衣所の扉が音を立てて開いた。
みんなの視線が脱衣所に向いた途端、
「・・・キャーーーーー!!!」
寺田さんの悲鳴がアパートに響き渡った。
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