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その悲鳴にビックリした。
ギョッとして寺田さんを見ると、わなわな震えて指をさしている。
その差したその先には、
「ギャァァァァ!!!」
ひらりと落ちたバスタオルに顔を覗かせた、犯人もとい、コショウ男のシンボルが垂れていた。
・・・あー・・・。
良くない展開に、せっかく起立した足が床へと崩れていく。
頭をそっと抱え込んだ。
「ふ、服着てくださいッ!!」
レディはそうだろう。
男のイチモツなんざ、見慣れていない。
キーキー声で言われた言葉に、彼は脱衣所の扉を勢いよく閉じた。
「な、なんで?どうして?」
知らんがな。
まあ、基本的に男は暑がりだ。
特に、熱の籠る風呂上がりの下半身は開放したい種族なのだ。
・・・風呂上がりに上半身裸は分からんでもない。
だが、他人の家では、用意された服を着て出るのが普通じゃないのか?
チラリと普通じゃない寺田さんを見てから、床を見つめた。
・・・だから、なんで婦人警官やねん。
と、玄関の扉が凄い音を立てて開いた。
「どどどどど、どうした?!」
・・・!!
「あの、あの、とと富永さんが!」
今度こそ、見てられなくて顔を覆った。
山中さんが、チンピラの格好をしていたからだ。
・・・似合わない、似合わなさすぎる。
服が浮いて見えるのだ。
紺の生地に白のストライプが入ったスーツに、似合わないアロハシャツを着込んでいる。
昭和のチンピラ像に、泣きたくなった。
・・・今、令和なんだけど。
久しぶりに凹んだ。
・・・俺の指示、そんなに分かりにくかったか?
あまりにも端的に述べ過ぎたのだろうか。
「なに?!富永さん?!富永さんがストーカーですか?!」
寺田さんと山中さんの会話に、俺はゆっくりと顔を上げた。
「・・・課長、その服。」
甲斐くんが横でボソリと言った言葉に、心の中で突っ込んだ。
甲斐くん、いまはそのツッコミはいらないよ。
コショウ男の無実を証明してあげないと。
山中さんは革靴を脱ぎ捨てると、かまちに立って叫んだ。
「富永さん!どこですか!!」
山中さんの迫力に、脱衣所でガタンと音がした。
「か、課長?!」
扉の向こうの、哀れなコショウ男の悲鳴に、山中さんは胸を張って頷いた。
「そうです。」
「課長!ちょっと待って、富永さんじゃないから!」
甲斐くんの制止に、山中さんは眉を顰めたまま甲斐くんを振り返った。
その山中さんを見ながら寺田さんは甲斐くんに確認した。
「甲斐さん、だってあれは富永さんでしょう?!」
寺田さんのツッコミに、俺は静かに頷いた。
そうだよ甲斐くん。
何をもって犯人じゃないと言い切れるんだ。
だって君をつけていたんだ。
「富永さんなんだけど、富永さんじゃないんです!」
「甲斐さん、分かんない!あれ富永さんだもんっ!」
「だから違うんですって!寺田さんも警察官じゃないでしょ?」
俺は、寺田さんと言い合いをしている甲斐くんの話についていけずに、ぼんやりと前を向いた。
「それ今関係あるの?!」
寺田さん、その通り。
コショウ男、もとい富永さんに何の関係があるんだ。
「だって好きなんだって絶対!」
「裸が?!」
ギョッとして寺田さんを見た。
山中さんも驚いたらしい、寺田さんの肩を掴まんばかりにして確認した。
「ええ?!裸が好きってどういうことですか?!」
「もう課長は黙っててッ!」
甲斐くんは山中さんに言い放つと、
「富永さん!出てきてくださいッ!」
と、高らかに富永さんを召喚した。
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