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あまりの驚きに、背後の書籍棚にぶつかった。
「え?!大丈夫だよ!」
見るからに、オタク。
緑のチェック柄のシャツに、黒いリュック。
何が入っているのか分からないが、電器屋の紙袋を下げて買い物カゴを持っていた。
中には、レトルトのお粥に、ゼリー、ヨーグルト、栄養ドリンク、スポーツドリンクが入っており、病人へ持っていくような品物が詰め込まれている。
「さっきはゴメンね!電話切っちゃって。」
ああ、そういえば甲斐くん、掛かってきた電話を切っていた。
「ずっと家に居たから、体調を崩されたのかと思っていた。」
・・・え。
なんだって?
「では、最近、夜の付き合いがないのは、飽きてしまわれたのか?」
夜の、付き合いだとぅ?!
しかも飽きるって!
「ううん、忙しくって。」
この感じだとゲームの話だということは、分かる。
分かるが、めちゃくちゃ腹が立つのは何故だろう。
オタクは、メガネをあげると不思議そうに首を傾げた。
「甲斐殿、ではカバンを変えたのか?」
「・・・なんで?」
「サバイバルゲームでわたしが守れるようにと封筒を渡したではござらぬか。」
GPS!
それ絶対にGPS!!
「え、サバゲーは断ったよね?」
甲斐くん、今はそこじゃない!
封筒を掘り下げろッ!
「諦めては無いでござる。」
絶対に吐かせる。
犯人はコイツだ!!
ジュースのコーナーに行き、お茶を手に取った。
怒りで手が震えて仕方がない。
「待って待って、実戦は怖いから。」
「大丈夫、討死しても甲斐殿はわたしが守ります。」
絶対に行かせねぇ。
サバゲーだろうが、甲斐くんを守るのは、俺だ!
ふたりの間にペットボトルを差し出した。
「あ!山野さんっ!こちら、中島くんです。ゲーム仲間なんです。」
そして、ストーカーだろう!
「はじめまして、中島です。」
鼻でフンッとやりたい気分を抑えて、目礼した。
「こちらは山野さん。おれの、」
今、友だちと言ったら、今夜イキ地獄に落としてやる。
「だ、大事な人です。」
「はじめまして、山野です。」
右手を差し出した。
オタクは、俺の手を両手で握って叫んだ。
「甲斐殿の新しいバディですか?!」
・・・新しいとは何事だッ!
二番煎じのような言い方に、腹が立って仕方がない。
「とにかく店の迷惑だ。外に出ましょう。」
バディ発言には答えず、俺は店の外を促した。
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