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placebo(プラシーボ)効果。
日常生活で言えば「いたいのいたいの、とんでいけー!」で痛みがひく効果だろうか。
偽薬効果ともいわれる。
今回、まっぽしハマってるじゃねーか!
ちなみに、まっぽしとは方言で、ずばりという意味だ。
『んっ・・・、おれ、お利口に待ってるから。んんっ!早く、帰ってきて!!』
携帯の留守電に残されていたのは、甲斐くんの喘ぎと甘いお願いだったのだ。
『く、すり・・・つよぃの、触りたいの、我慢してるか、らぁっ!』
目が落ちるかと思った。
着信は、ほんの10分前の事だ。
つまり甲斐くんは、あのクスリを媚薬と思い込んで、5時間耐えているらしい。
う、わぁ!!
ヤバイ、ヤバイ、ヤバイぞ、これは!
与えられない欲望に、神経が焼き切れてもおかしくない。
ほんのちょっとの意趣返しと、ほんのちょっとの意地悪の思いつきで与えた偽情報を、甲斐くんはまんまと信じて悶えているのだ。
慌てて折り返したが、コール音が鳴るばかりで電話に出てくれない。
つまり、耐えきれず意識を失った可能性もあった。
「山野先生?!」
「申し訳ない!今は集中させてくれ!」
当直医から声を掛けられたが、先にカルテに入力を最優先させた。
そして、当直医を引き摺るようにして患者の様子を確認しに行き、超特急でオーダーと申し送りを完了した。
「何かあったら連絡を。明日、様子を確認しに来ます!」
ごめん、甲斐くん!
悪戯が過ぎた!!
タクシーに飛び乗って、いまも快感に苦しめられている甲斐くんの家に急いだ。
ごめん、ごめんね!
タクシーの中で、足踏みしたい気分だった。
それくらい焦っていた。
人間の体の中には、テストステロンという性衝動を高める男性ホルモンの一種が存在している。これは、脳内でドーパミンという神経伝達物質を促して、男性器の勃起を促すホルモンだ。
つまり、甲斐くんの頭の中では、媚薬と思い込んで飲んだ効果で、テストステロンが強く働いて、興奮し続けている。
そして、俺は、甲斐くんに『受け身』というセックスを教えた。
女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、体の中に男性器を受け入れたいという性的衝動を促す役割がある。
つまり甲斐くんの体の中には、テストステロンとエストロゲンがガンガンにドーパミンを出しまくって暴れ回っているということで。
うわ・・・、依存症になったらどうしよう。
ドーパミンが過剰に出過ぎると、その快楽に依存しだす可能性が出てくる。
あるいは、考えすぎかもしれないが、統合失調症になる危険性も否めない。
ヤバイぞ、どうしよう。
そうして到着したアパートで見たものは、むせ返るほどの雄の匂いを放つ濡れ濡れの甲斐くんが、あられもない姿で俺を誘うとんでもない地獄絵図が広がっていたのだった。
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