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「山野さん、本当に昨日はすみませんでした。」
出迎えてくれた甲斐くんは、開口一番に謝ってくれた。
「まあ、先にメシ食おう。家に帰って着替えたいし。」
「すみません、着替えも無くて。」
甲斐くんの家の着替えは、相撲のコスチュームしかないのだから、仕方がない。
そんなのを着るくらいなら前日の服を着るし、だいたい富永さんが着た後のそれに、腕を通したくない。
「それなんだけど、甲斐くん、もうここは引き払わない?」
友人の関係なら、ストーキングが終わった時点で、自分の部屋に帰ってもらうだろうが、あいにく甲斐くんとの関係は友人ではない。
ずっと一緒にいたい恋人なのだ。
「・・・山野さん、ご迷惑ではないですか?」
「別に。逆にずっと一緒に住めるなら、最高だと思う。」
そう言うと、甲斐くんは嬉しそうに笑った。
「ありがとうございます。」
あ、そうだ。
「メガネと遊ぶ荷物は、ここ?」
「ああ、中島くんですね。」
甲斐くんが指差した先は、テレビボードだった。
「あの下に全部入れています。」
ふむ。
ちょっとだけ面白くないが、甲斐くんの趣味でもあるし、少ない友だちを俺が切るわけにはいかない。
「それも持っていこう。」
「え・・・いいんですか?」
びっくりした顔に、微笑みかけた。
「だって、ゲーム友だちなんだろ?いきすぎはダメだけど、友だちは大切にしなくちゃ。」
喜んで持って行く準備を始めた甲斐くんには、犬のような尻尾が見えた。
ぶんぶん振りながらケーブルをテレビから抜く姿を見ていたら、なんだかこっちまでご機嫌がうつってくる。
「ほら、弁当あったまったよ。」
「はい!」
・・・結構、あるんだな。
テレビの前に引き出されたゲームグッズは、ゲーム機本体に形の違うコントローラーが数種類、イヤホンとマイクのごっついセットに、ごちゃごちゃしたケーブル類がとぐろを巻いている。
こりゃ、早々に物件見つけないと。
「ソフトは?」
「ダウンロード版を買ってるので、荷物は無いです。」
「へぇ。」
携帯が震えた。
ちらりと確認すると、置き配完了としてある。
「よし、完璧だな。」
「え?」
なんでもないと断って、割り箸を渡した。
「とりあえず、食べて荷物を持って帰る。今日は、これだけ完結させよう。」
「分かりました。ここの荷物は、仕事帰りに少しづつ処分していきますね。」
「ん。」
一緒に手伝うとは、軽々しく約束はしない。
一日ゆっくり休める日は、少ないのだから。
「おっきい家具なんかは業者に頼もう。」
マットレスは再起不能だ。
油が染みて、変な輪染みが出来ている。
「はい。」
テレビ、洗濯機、冷蔵庫に電子レンジはリサイクル。
テレビボード、本棚、テーブルにベッドは廃棄かな。
「あの人形も、持ってきていいからね。」
「え、結構スペース取りますよ。」
「いい、いい。」
引っ越すから。
ソコソコの広さの、防音完璧な物件に。
そこで、嫌というほど啼かせる!
そして、これからも啼かす!!
・・・やっぱり、セックス用のベッドと寝る用のベッドがいるな。
てことは、3LDKは最低でも必要ってことか。
甲斐くんの趣味部屋もいるしな。
んー・・・。
「甲斐くんは転勤あるの?」
「無いとは言えないですけど、今のところ小さな異動で済んでいます。」
まあ、賃貸じゃなくても良いか。
そこそこ金はある。
それともあえて賃貸にして、郊外に別荘買っても良いのかな?
物件選ぶ時に、甲斐くんと見て回って決めよう。
「ご馳走さまでした。」
「ん、じゃあ早速移動するか。」
「はい!袋に詰めますね。」
甲斐くん、今日はそのゲーム機は繋げられないからね。
やるなら明日。
「ね、甲斐くん。」
「はい。」
振り向いた甲斐くんに小瓶を見せた。
「帰る前にこれ飲んで。着いたらセックスするよ。」
「ええっ?!」
さあ、フラグを回収するのだ。
今回は心ゆくまでセックスする。
「大丈夫、2回目だから抵抗力ついてるからね。家に着いた頃に効きはじめるさ。」
自分で言いながら意味不明。
だってこれは、ただの加齢臭抑制のサプリメントだ。
「俺も飲むよ。ふたりでイキまるくぞ。」
「・・・は、はい。」
そんなわけで、俺目線の話はここで終わり。
至福のセックスデーは、甲斐くん目線からの話で始まる。
てことで。
「はい、あーん。」
口移しでサプリを与えたところで、甲斐くんにバトンタッチ。
「ね、カスッカスになるまでセックスしようね、甲斐くん。」
甲斐は目を見張った。
ひぇぇ!!
どうしよう山野さん、目が本気だ。
絶対、絶対、山野さん、
『さあ、帰ってセックス三昧だ、この野郎。』
とか思ってるよぉぉ!!
と、とにかく早くお家に着かなきゃタクシーの中で発情しちゃう。
急がなきゃ!
甲斐は戦々恐々としながら、バタバタと紙袋に荷物を詰めたのだった。
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2021年3月21日 完。
いやいやシリーズ第5弾
「いやいやそれでしょ。」の甲斐目線へ続きます。
公開は今日の夜・・・?(*≧艸≦)
※お話は2019年10月のストーリーです。
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