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両片想い17
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約束通り高校生の壮馬と恋人同士になったが、大学合格まではプラトニックな関係を無理やり続けた。
親に隠れて付き合ってることもあり、仕事が早く終わったときは、勉強を見てやるという名目で壮馬の自宅に寄ったりして、それなりに恋人らしいことをしていた。
そんなある日、ふたりきりになった途端に、抱きしめながら押し倒されてしまった。多分、これまで我慢させたせいで限界が来たんだろうなと、容易に想像ついた。
「ふぅんっ…んぁっ」
壮馬と恋人になってからは、貞操を無意識に守る生活を続けていた。別に他のヤツと関係を持ったとしても、壮馬にはバレないというのに、なぜだかそういう気になれなかった。
そのせいで、いつもより敏感になった。キスされただけで、甘い声がどんどん出てしまう。
「んっんっ、あぁあっ」
何度となくキスを交わしているからだろう、俺の感じる部分を狙って、口内を責められまくった。
(このままじゃ流されてしまう。約束したのに――)
壮馬の唇が俺の首筋に顔を動かしたのを見るなり、両肩を強く押して抵抗した。
『先生――』
壮馬が呟きながら顔を上げた瞬間、俺は右手で思いっきり平手打ちを繰り出す。室内に乾いた音が響いた。
「壮馬の馬鹿っ! 大学合格まではやらないって約束したろ」
叩いた右手の甲を、意味なく左手で撫で擦った。本当は壮馬の叩いた頬を撫でたかったのに。強く叩いて悪かったって言いながら。
『確かに、先生とヤりたい気持ちだってある。でもそれ以上に、俺を見てほしかった。俺の好きっていう想いを、先生に見てほしかったんだ!』
「俺を抱けば、おまえの想いが見えるのか?」
『だって先生はいつも視線を外して、俺を見ようともしない。言葉でうまくはぐらかすし、まともに向き合ってくれないじゃないか。俺が高校生のガキだからって、そんな態度を取り続けてるんだろ』
指摘された壮馬の言葉に、ハッとさせられた。
「俺は――」
俺は最初から、壮馬の視線を避けていた。ビジネスと欲で平気な顔して躰を許す、汚い自分を直視されるのが恥ずかしかった。それと同時に羨ましかった。自分の躰を売ってしまってから、心までなくしてしまった俺のことを、素直に好きと言えることが。
「壮馬、俺はおまえが……」
まっすぐ迷いなく好きだと言ってくれるおまえとなら、恋人になりたい。だから俺は――。
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