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両片想い27
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「俺は酔っ払いのオナニー見ても、興奮なんてしねぇよ」
「おまえの手で散々弄って、俺の感じてるところだって見てるはずなのに」
壮馬は、俺の乱れたところを見るのが好きだった。それなのにどうして――。
「何度も肌を重ねてるから、わかってることがあるんだって。鉄平が思うほど、俺はもう子どもじゃない。下手な芝居して俺を騙すのは、いい加減に勘弁してくれよ」
「騙してなんていない……」
頬が痙攣するように引きつり、微笑みが崩れていくのがわかった。一生懸命に笑おうとしてるのに、目の前にいる壮馬の顔が、水の中に入ったみたい歪んでいく。
「俺に嫌われようと、必死こいてるみたいだけどさ。こんなにも鉄平が好きなのに、今さら嫌いになんてなれるわけがない」
あたたかい手が、流れる涙を拭っていく。それなのにとめどなく溢れるせいで、拭ったそばから頬を濡らした。
「うっ…なんでこんなっ!」
「これって、俺が泣かしたことになるんだろうな。喘がせながら啼かせたかったのに」
「よく、言うよ……。バカ!」
自分の腕を使ってゴシゴシ涙を拭った。こんなふうに泣いたのは、何年ぶりだろうか。
そんなことを考えていたら、壮馬の唇が目尻に当てられた。
「やっぱり涙はしょっぱい。だけど鉄平の涙はその中に、別なものを感じる」
「壮馬?」
湿った頬に、優しいキスがたくさん落とされる。まるで涙のあとを辿るように。
「ンっ、くすぐったい」
肩を竦めると、耳元に顔を寄せてきた。
「どうしたら別のなにかを、鉄平の口から聞き出すことができるんだろう?」
心に響くような低い声で言うなり、首筋に舌が這わされる感触を肌で感じた。 時おりちゅっと吸われる甘い衝撃に、吐息を吐きながら躰をビクつかせた。
「なにを考えているんだよ。躰はこんなにも俺を欲しがって正直なのに、鉄平の考えてることがさっぱりわからない。なぁ教えて」
まるで俺の心に訊ねるように、壮馬の手のひらが胸の真ん中を撫で擦る。
「…………」
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