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日下 ~side~
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次の朝、俺は叶先生と離れて直ぐ嫉妬した。
確かに笑うようになって嬉しいけど…
振り撒き過ぎじゃない?
自分の思考がめちゃくちゃになり過ぎて、項垂れた。
勇間に話を聞いて貰おう…そう思った瞬間、ベストタイミングでやって来た。
「おはよう日下君…今度はどうしたの?」
〔う〜………いやね、笑ってくれる様になったのは良いんだよ?だけどさ〜…うう〜…〕
なんて言ったらいいのか…
理解出来て居ない勇間は、首を傾げている。
「駄目なの?」
勇間の席から移動して、また項垂れた。
駄目ではない…寧ろもっと笑ってて欲しい…けど…
〔何か……もやもやする…〕
「もやもや…?」
〔うん、無理してるんじゃ無いかなって…〕
「うーん……それは、どう…だろ…」
晴れて恋人同士になったとは言え、俺はまだ記憶が無い。
笑顔を見る度に、ちょっと不安になる。
〔叶先生は、俺にとって何なのか…まだ分からない、でも家の中には沢山痕跡がある。〕
"叶先生"
この呼び方が嫌なのかもしれない。
二人きりだと呼ぶ…でもやっぱり、叶先生って呼んでいる。
無意識って怖いよな…
〔幸せそうに笑うけど…目を離したら、悲しそうに見えて…〕
「………。」
〔俺どうしたら良いんだろ…〕
「そのままで良いんじゃないかな?無理に思い出しても…苦しいだけだよ?」
〔けど…叶先生が…〕
「…可哀想だって思うなら、それは叶先生に失礼だよ。」
〔………。〕
「向き合うって決めた叶先生の気持ち、それを無下にするの?」
〔確かに…そうだけど…〕
勇間に言われて、何だか申し訳無い気持ちになった。
叶先生は叶先生成に、俺との関係を続ける決心をした…
でも、女の子と会話してると…いつも苦しそう。
まるで…その道が正解だと言いたげで…
それを聞こうと勇間を見ると、何だか少し怒ってる様子。
「日下君は、ちゃんと向き合えてる?」
〔え…〕
「過去の自分に引っ張られてない?」
〔……引っ張られてる、かも…〕
「それじゃあ駄目だよ。今の自分をぶつけなきや。」
〔うん、分かった!俺頑張る。〕
「うん…俺も協力するよ。」
〔ありがと、勇間。〕
「どういたしまして。」
やっぱり、勇間は凄い。
俺なんかよりも辛い事があったのに、こうして前に進んでるし…それなのに俺は…
また悪い方向へと行こうとする思考を無理やり引き剥がし、廊下の方へ目を向けた。
その瞬間、身が固まった。
そこには色んな生徒に囲まれて、少しうざったそうに…でも嬉しそうな叶先生が居た。
ムカつく…
俺のなんだけど、しかも女子身体近すぎない??
離れたと思ったら今度は男子に肩掴まれてるし…ってか、避けろよ。
俺が見てんですけどー。
そう思っていると、勇間が笑った。
少しムッとしながら、見つめる。
〔何笑ってんの…〕
「ふふっ…ご、ごめん…ックク……あまりにも剥き出しだから…」
〔そりやそうでしょ、俺達仮にも恋仲だし…〕
「そうだね……叶先生意外とモテるし。」
〔………。〕
モテる?マジで…
いやいや………え、それは駄目だわ。
勢い良く立ち上がり、叶先生のところへ向かう。
〔叶先生、ちょっと聞きたい事あるから良い?〕
[は?ちょっ…]
〔皆ごめんね、借りてくわ〜。〕
驚いた叶先生の腕を掴みながら、その輪の中から抜け出す。
状況を把握出来てないまま、大人しく俺の後を着いて来る。
嗚呼…そっか、俺叶先生を独占したいんだ。
自覚してからはもう早かった。
生徒があまり通らない通路まで行き、腕を離した。
[何だよ…これから授業だろ?]
〔俺…怒ってんだけど。〕
[…は?]
〔………。〕
流石に雰囲気を察したのか、叶先生の顔が強張った。
俺…自分でも引くぐらい顔に出てる気がする。
その証拠に、いつも強気な叶先生が少し肩身が狭そうだ…
〔笑顔なのは嬉しいけど、あんまり他の人に見せないでよ。〕
[……は?……はぁああっ!?]
〔………。〕
[お前っ…何を怒ってんのかと思ったらそんな事かよ!!]
〔そんな事って何だよ!こっちは真剣なんだけど!?〕
[これだからクソガキのまんまなんだよ!]
〔………かなちゃんの馬鹿。〕
[は?!]
〔俺には重要な事なのに…〕
面倒くさがられるとは分かってても、どうしても納得が出来なくて…
軽く睨んでしまった。
罰が悪そうな顔をして、叶先生は溜息を吐く。
うーわ、あからさま〜…とか思ったり。
段々後に引けなくなって、分かってもらえない苛立ちもあって…
浸すら同じ事ばかり言い合った。
[開き直ったお前マジで面倒くせぇ。]
その一言で俺の理性が吹っ飛んだ。
気が付けば叶先生の顔面すれすれで、壁を殴っていた。
目を見開いた叶先生は、少し怯えているけど…もう知らない。
〔面倒くさくて悪かったですね、もう良いっすわ。〕
[は…?…ちょ、待てよ龍!]
〔何すか?面倒くせぇ話終わらせたいんですよね?ならもう話す事も無い訳ですし、叶先生も仕事あるんでしょ。じゃ。〕
冷たくあしらい、その場から去ろうとした瞬間…
服を捕まれ、阻まれた。
ゆっくり振り向けば、俯いた叶先生の頭。
あ…ヤバイ…泣かせたかもしれない。
急に頭が冷えて、狼狽えた。
〔あの…〕
[言いたいことはそれだけか?]
〔えっ…〕
低く唸られ、思わず素っ頓狂な声が出た。
顔を上げた叶先生は、何とも言えない表情で…
目が…死んでる…
[急に連れ込まれたと思えば、笑うなだと?ふざけるのも大概にしろよクソガキ…]
〔………。〕
[テメェが笑えって言ったんだろうが…]
冷や汗が止まらない。
これはさっきのとは違う意味でヤバイ…
怒らせた……慌てつつ、謝ろうと口を開く。
だが、叶先生は素早く服の裾を離して胸倉を掴んだ。
[大体テメェは言ってる事とやってる事が合ってねぇんだよ!!つか、あんなの愛想笑いに決まってんだろ!?何で俺がなんとも思ってねぇ奴等に笑わなきゃなんねぇんだ、そんなんお前に見せるだけで充分だろうが!!]
〔!!〕
[分かったか!!]
〔は、い…〕
熱くなった顔を何とか誤魔化そうと、手で口元を抑える。
自分が何言ったのか分かってんのかよこの人…
そう思いながら見下ろすと、まだいい足りないのか俺の事を強く睨んでいた。
〔あー…もー……クソッ…〕
力無くその場にしゃがみ込む…
俺、この人に一生勝てる気がしないや。
[おら、立てよ…まだ話し合いは終わってねぇだろ?]
〔んー……もう解決した、かなちゃん大好き。〕
[は!?何をどう捉えて…ちょっやめろ!]
立ち上がって、思い切り抱きつく。
自分の言ったことに本当に気付いてない…可愛いなぁ…
ひと悶着を終え、教室に戻ると…勇間の姿が無かった。
何か嫌な予感がする…そう思いつつも、確信が無くて暫く様子を見ていた。
次の日も、その次の日も…ずっと…
一週間近くが経とうとしてる時、疑問を抱いた。
そう言えば最近勇間と真羅先生が会話してるところ見てないな…
やっぱり何かあったんだな…
放課後になり、勇間の席へと向かい腰を下ろした。
〔さて、と……何があったのかな?〕
「………。」
頬杖を付きながら、問いただす。
勇間の事だから、きっとはぐらかされると思ったけど…何かを悩んだ後話す事を決めた顔になった。
「えっと……これ、なんだけど…」
綺麗に巻かれた包帯…
もしかして…またやったのかもしれない。
どうして…なんで…?
いや、違う…勇間がやったんじゃ無い。
誰かがきっかけを作ったんだ…思い返せばあの日、一人だけ変な雰囲気だった子が居た。
確信は無いけど、取り敢えず話を聞いてから決めよう…
俺は勇間の腕を優しく包んで、話を聞く体制に入った。
〔うん…どうしたの?これ…〕
「……最初は痒いなって感じるだけだったんだけど、どんどん耐えられなくなって…」
〔うん…〕
「水で冷やしても駄目で、気付いたら壁に打ち付けてた……それでも収まらなくって、掻き毟って…そこに先生が来たんだ…」
〔………。〕
「……悲しませちゃった……先生がそうなるって分かってたのに、傷をまた作って…だから反省しようって思って、距離を置く事にした。」
〔そっか……距離を置くって事は、その…あれだよね?〕
「うん…あの家に戻る…」
〔………。〕
かなり勇気が必要な決断だ…
だから二人は、喧嘩したみたいな雰囲気だったんだ…
〔もう仕舞って大丈夫だよ…話してくれてありがとう。〕
「…うん。」
〔そう、だね…うーん……反省するのは良い事だとは思う。けど、真羅先生が悲しむ選択を更にしちゃってるってのは…分かってるよね?〕
「うん……でも、先生の優しさにいつまでも浸ってたら駄目なんだ…」
〔………。〕
「自分の意思が弱いなら…ちゃんと直さなきゃ。」
〔俺も協力はする…けど、壊れる前にちゃんと教えてね。あの家に戻るって事は、どうしたって昔の事を思い出す。自分の事を考える以上に、先生の事も考えてあげてね…〕
「うん。」
〔自分が苦しむ選択ばかりじゃ駄目だからね、まぁ…俺も最近気付いたから、人の事言えないんだけど。〕
昔、勇間に言われたような気がする…
そんな事を思いながら、勇間の顔を見る。
俯いて、まだ迷っているみたいだ…
真羅先生は、あの家に返したくない。
けど、勇間は戻って自分を変えたい。
どちらも考えは曲げられない…俺だって、もし同じ状況になったら返したくは無い…
「先生の許可を得たいんだけど…会話も無ければ時間も合わないから……黙ったまま今日…行くことにした。」
〔置き手紙くらいはしてあげてね?〕
「それは…ちゃんとする。」
〔それなら大丈夫かな…俺からも話しておくよ。叶先生にも協力してもらうから。〕
「ありがとう……ごめんね、こんな事…」
〔こんな事じゃ無いよ、勇間にとっては重要な事でしょ?〕
「………うん。」
換気の為に開けた窓から、冷たい風が吹き込む…
その先には、旗から見ても不機嫌そうな真羅先生が居た。
人でも殺したんじゃないかってくらい、怖い顔してるし…
このままじゃ、あっちがどうにかなるんじゃないかな。
勇間を監禁したりして…
想像して少しゾッとした。
あの人ならやりかねないからだ。
〔んー……まぁ、先生が何かする前に俺達で止めるよ。〕
「え…?」
〔あの人今、何するか分かんない顔してんじゃん。〕
真羅先生の姿を見て、ちょっと確信を得た…
やっぱり誰かが勇間を刺激した、それが誰なのか…あの人も分からないから探してる。
さて、と…
〔ね、勇間。〕
「…?」
俺の方に目を向け、不思議そうに顔を傾げた。
答え辛い事だろうからと思っていたのが、声に出ていた。
自分でも驚く程優しい声音…
〔今のあの人に近付けちゃいけないのは…誰?〕
「え…」
驚いた数秒後、勇間は力なく微笑んだ。
「実行委員の…早紀さん…かな…」
〔ん、分かった。〕
「……彼女、こんな事になってるなんて想像も付かないだろうね。悪気があってしたんじゃないから、余計に…」
まだ優しく捉えている勇間…
優しいだけじゃ駄目なのに…
〔もし勇間達の関係に薄々勘付いてたなら、悪気があっても無くても関係無いよ…それに同じ事をしてたからって理由で、無闇矢鱈と傷を相手に見せる無神経さに…俺は反吐が出るかな。〕
「………。」
思っていたよりも正直に発言してしまった。
固まる勇間に、慌てて訂正の言葉を告げる。
〔…ちょっと言い方キツかったかな?〕
「ううん、大丈夫…俺も少しそう思ってたから……同じ事をしてたからって同情出来る程、俺は他人の心に寄り添えない。」
〔………。〕
急に黙り込み、なにかを考え始めた勇間…
まかれた包帯を撫でながら、どんどん暗くなっていく瞳が何だか見ていて不安になった。
〔勇間…?〕
「あぁ…ごめん、ちょっと考え事してた。」
〔…あんまり詰め過ぎるなよ?〕
「うん…」
困ったように笑い、でも少し泣きそうで…
きっと二人だけじゃ、上手く話し合いの場は作れない。
それならいっその事今からさせてしまおう。
歩いてく方向的に、真羅先生は叶先生の所に行った筈だ。
〔よし、今から叶先生の所行こ!〕
「え?」
〔ほいほい、立って立って!〕
「ちょっ…」
〔レッツゴー!〕
腕を捕み、叶先生の所に向かうべく立ち上がる。
慌てながらもなんとか着いて来る勇間を横目に、俺の足取りは軽やかだ。
鉢合わせるかもって気不味そうにしてるけど、いい機会だとは思う。
あっという間に目的地に着き、勢い良く扉を開けた。
〔叶先生ー!居るー?〕
「………。」
案の定真羅先生が居た。
勇間も恐る恐る顔を出す…
[お前らか…]
『じゃ、俺帰るわ。』
[お、おう。]
叶先生も聞いたんだろうな〜…顔強張ってる。
勇間の身体も固くなった…
そっと手を離し、中へと入って叶先生の近くにあった椅子に座る。
気不味そうな雰囲気が、二人の間に流れてる。
『………。』
「こ、こんにちは…」
『ん、こんにちは。』
〔………。〕
『お前ら気を付けて帰れよー。』
平然を装った真羅先生は、教室から去って行った。
今行かなきゃ駄目だけど…勇間はまだ迷ってるのか、廊下の方へ目を向けたりして狼狽えている。
沸切らない…仕方無い、ちょっときっかけを作ってみよう。
これで駄目だったらまた考えてあげようかな…
〔真羅先生は何用だったの?〕
[…倉沢について、色々心配だって言う小言…ま、こっちは惚気にしか聞こえなかったけどな。]
〔ふぅん…?〕
「………っ、日下君ちょっとごめん!」
勢い良く飛び出した勇間は、何だかスッキリした表情をしていた。
解決しそうで良かったな〜…なんて一人で満足していると、叶先生はジト目で俺を見ていた。
〔ん?どしたの?〕
[いや…お前、策士だなって…]
〔え、なにそれ〜。〕
[……ふっ]
あ、笑った…
思わず嬉しくなって、まじまじと顔を見てしまう。
視線を感じた叶先生は、照れ臭そうにその顔を仕舞い手元の資料に目を通し始めた。
嗚呼…確かに他の奴等に見せる笑顔と、俺だけに見せる笑顔は違うなぁ…なんで気付かなかったんだろ。
嬉しぃなあ…
余韻に浸っていると、扉が開いて…その先には真羅先生に抱き上げられた勇間が居た。
何だ、成功したんじゃん。
〔あれ?仲直りしたの?〕
[……お前ら…]
「あ、いや!これは…先生降ろしてください!」
『えー?』
顔を赤くした勇間は、バタバタと足と手を振り回してやっと開放された事への安堵の溜息を吐いた。
「はぁ……」
[で?お前らは何しに来たんだよ…寸劇を見せに来たのか?]
「違います!」
〔んー、協力してって言おうと思ったんだけど…必要無かったみたい。〕
[…んだそりゃ。]
〔へへっ…〕
「帰ろう、日下君。」
〔俺はもう少し居よっかな。叶先生と話す事あるし!〕
「えぇ…」
このままここに居たら、叶先生と一緒に帰れるし。
叶先生も機嫌良さそうだし、運良く手も繋げるかも!
[二人で帰ったらどうだ?]
「え…」
〔いつあの家に戻るか分かんないけど、それまで登下校一緒にしたら?〕
『……確かに。』
「え、いや…それはちょっと…」
〔不安なら会う頻度を高めれば良いんだよ!〕
「…距離置く意味無いじゃん、それ。」
呆れながら勇間は椅子に座って、その隣に我が物顔で腰を下ろした真羅先生。
つい先程まで喧嘩してたくせに…
「帰るんじゃ無かったんですか。」
『…仲直りしたし?』
「仲直りって…」
[いーから早く本題話せよ、鬱陶しい。]
〔真羅先生から聞いてると思うけどさ、勇間があの家に戻るって話。〕
行かせたくはないのが本音だ…ここにいる皆。
けど、当の本人はその意志を曲げるつもりは無い…それなら出来る限りの事はしてあげたい。
〔勇間の事だし、多分耐えそうだから叶先生にも気を遣ってもらおうかと。〕
[なるほどなぁ…その前に真羅が気付きそうだけどな。]
〔まぁ…今は大丈夫になったけど、さっきまではヤバそうな雰囲気だったじゃん?〕
『そんな事は無い。』
〔あるから言ってんでしょー!〕
『はいはい。』
「………。」
『どうした?』
「え……あ、いや…」
『不安なら俺が送ってくよ。』
「……うん、お願いします。」
『ん。』
〔あ!それなら俺も行く!〕
『あー……それはちょっと…な?』
「いえ…俺もみんなに来てもらった方が…なんなら、上がってってください。」
にこりと微笑む表情を見て、何だか安心した。
あの家に他人を入れるなんて…きっと良い進歩だと思う。
嬉しくなって、勢い良く立ち上がる。
〔じゃあそうと決まれば行こ!〕
[気が早ぇな…]
〔善は急げってやつ!〕
『使い所違うけどな。』
叶先生も文句を言わずに、支度を始めた。
一緒に帰る機会は全然あるし、皆と帰れるならそれはそれで楽しいから結果オーライ。
[あ、龍…そこのファイル取ってくれ。]
〔ん?これ?ほい、どーぞ。〕
[ん。]
〔何?持ち帰んの?〕
[忙しいからな…]
〔ふぅん…?〕
ファイルだけじゃ無くて、パソコンまでも鞄の中へ仕舞っていく。
大変そうだな…教師って…
俺もそろそろ色々決めないと…か…。
[どうした?]
〔んーん、何でもなーい。〕
教室を先に出ると、後から慌てて勇間もやって来た。
これから…大変になりそうだなぁ…
壊れる前に、助けてあげたいけど…その役目は真羅先生に渡すとして、俺は…
[何だ、さっきから人の顔面をジロジロと…]
〔今日も可愛いなって……ヴグッ!!…何で直ぐ拳が出るのかなぁ〜?〕
[うるさい。]
目の前のこの人をしっかりと支えてあげなきゃ…
勇間程では無いけど、この人もマイナス思考だし。
放っておいたら突拍子の無いことしそうだし…
なにより、俺が心配だから…
〔あんまり無理しないでね。〕
[…あぁ。]
優しく微笑むこの笑顔を、いつまでも隣で見られるように…
静かに心中で願う。
いや、願うよりも掴み取らなきゃ。
絶対に離さないからね…
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