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缶ビール一杯ですっかりできあがってしまった希を、テレビのチャンネルを弄っていた奎吾が気づき、注意する。希は空き缶を手に、くふん、と鼻を鳴らした。
「柏木」
犬猫にするみたいに、くしゃりと髪を撫でられて、希は目をつむった。あ~、それ気持ちがいいな~とうっとりする。奎吾の手は魔法みたいだ。希の心をたちまち蕩かしてしまう。そのまま後頭部から耳のあたりを揉むように撫でられ、希はとろんとした。ハッと息を呑んだように頭を撫でる手が止まって、なんだよ、もっと撫でろと希が不満げに目を開けたとたん、奎吾と目が合った。
艶やかな瞳が驚いたように見開かれている。その目がすっと細められた。
触れるようなキスをされる。希が目を瞬かせると、右頬を愛撫するように指でやさしく撫でられた。
「う……あ……?」
わずかに開いた口の間からぬるりと濡れたものが滑り込む。最初は希が嫌がっていないことを確かめるようにそっと。やがて希が逃げないことを確かめると、口づけはますます深いものへと変わる。
「ふぁん……っ」
鼻にかかったような甘い声が漏れ、希は目元を染めた。口蓋を舌でくすぐられ、腰のあたりに甘い痺れが走った。
「……嫌なら止めろ」
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