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甘い休日 1-3
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コーヒーの芳ばしい匂いが、朝の光に包まれた部屋を満たす。休日の午前十時。窓の外は眩しいほどの青空が覗き、まだ七月だというのに、連日真夏のような暑さだった。蒲生は冷房が効いた快適な室内でコーヒーを淹れている。
冷蔵庫を開け、卵をふたつ取り出すと、熱したフライパンの上に落とした。ジュワッと美味しそうな音がして、卵の端がフリルのようにこんがりと色づくのを待つ。白身はふっくらと、黄身はほどよく半熟がいい。ホテルなどで出される目玉焼きとは違う、焼くというよりかは揚げるに近い。前に希に出してやったところ、端がカリカリになったところが気に入ったらしく、夢中になって食べているのを見て、それからときどき作ってやるようになった。
鼻歌を口ずさみながら、サラダを作る。冷蔵庫にゆでエビが残っていたので、それも足した。カリカリのベーコンと、完熟トマトの甘み。アクセントに加えたキヌアの触感が食欲を誘う、ボリューム満点サラダだ。朝だからビタミンCがたっぷり摂れたほうがいいだろうと、オレンジを絞って生ジュースを作った。トーストは最近贔屓にしている隣町のパン屋のものだ。これも、希のお気に入りと知ってわざわざ足を運んだ。そろそろ恋人が起きるころだろうと蒲生が思ったとき、
「おはよ……うあ、すげー、超うまそう! めちゃくちゃうまそう! え、何、これ全部お前が作ってくれたの!?」
寝室から出てきた希は蒲生が作った朝食を見ると、驚いたように目をまるくした。何か手伝うかと訊ねる希に、蒲生はチュッと口づけた。
「おはよう。もうすぐ出来上がるから、ゆっくりしてな」
夕べ蒲生が散々啼かせたせいで、希の目の縁はうっすらと赤くなっている。食むように恋人のキスを味わっていると、とろんと色っぽく瞼が落ち掛けたその瞳が、次の瞬間、ぱっと見開いた。
「お、俺、先に顔洗ってくるな!」
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