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甘い休日 1-4
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逃げるように洗面所へ消える希の後ろ姿を、蒲生はぽかんとした顔で見送った。希はときどき蒲生が思いもよらないタイミングで照れる。いったいいまの何が希のツボだったのかわからずに、そんな状況を楽しんでいる自分に蒲生は気づいた。
昔の俺だったら間違いなくウザいと思っていたな。
決して誇れることではないが、蒲生はこれまで寝る相手に苦労をしたことがない。身体だけの関係を好み、相手が本気になる前に距離を置いた。誰か特定の相手に執着したこともなく、特にノンケだけはごめんだと思っていた。
ーーあのさ、汚点だなんて思わないよ!
迷いのないまっすぐな目で自分を見つめ、汚点なんて思わないと言い切る希の言葉を聞いたとき、蒲生はとっさにまずいと思った。なにがまずいと思ったのかは、正直自分でもわからない。ただ無性に希の存在が、その言動が蒲生の中の何かを刺激した。
キスをしたのは、希を傷つけたかったからだ。投げつけたような蒲生の言葉に、希がショックを受けたのがはっきりと見てとれた。
ーー……本当にすみませんでした。
その結果を望んだのは自分なのに、しょんぼりと肩を落とした希をそれ以上見ていられず、蒲生はイライラと席を立った。バスルームに入り、服を着たままシャワーの蛇口を捻る。そうしている間に、希が大人しく部屋を出ていくことを願った。けれど実際に玄関の扉が閉まる音がしたとき、気がつけば蒲生はバスルームを飛び出していた。自分以外誰もいなくなった室内を見て、蒲生はこれでよかったのだと言い聞かせた。
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