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第一話「推しに認知される」⑨
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「ンッ、ぁふ…ぅ、……」
自分の口から、聞きたくもない甘い声が漏れていく。
ただのアルファ相手ならまだしも、ずっと好きだった相手にこんなことをされて、正気でいられるわけがない。
「やッ…ぁ、んッ……」
知らず知らずのうちに、腰が揺れてしまっていた。
──アルファは嫌いだ。
オメガってだけで、俺を下に見るから。ベータも嫌い。オメガには何をしても良いと思ってるから。
そして何より、オメガが嫌いだ。
薬を飲まなきゃ “普通” でいられないから。
薬がないと、自分を制御できなくなる。そんな浅ましい自分が嫌い。
最初は、ただの一目惚れだった。
営業の一環でSNSに写真が上がっていて、そこに写る吉備さんに目を奪われた。
アルファだなんて知らなかったけど、自分とは住む世界が違う人なんだってすぐにわかった。
今思えば、そのころ職場で受けていたイジメのストレスもあったかもしれない。異常なほどSNSに張り付いて、吉備さんがネットを更新するのをただただ待っていた。
そして、吉備さんが何かを投稿するたびに、どうしようもなく高揚した気持ちになった。
カッコイイ。綺麗。可愛い。
本当に三拍子揃ったような人だ。
そんな人の生活を覗き見できるのが、堪らなく嬉しくて。けれど、純粋な憧れはやがて執着に変わって、執着はやがて嫉妬になった。
もっと知りたい。
もっと誰も知らない吉備さんを知りたい。
気付けば、会社を辞めていた。
広報活動を行っていた吉備さんが、どこの会社でどの部署にいるのかはすぐにわかった。オメガであっても働けるようにと、資格だけはたくさん取っていたから、無駄に難易度の高い入社試験を突破して何とか就職が決まった。
配属希望は、もちろん吉備さんと同じ部署。
そこからはもう、夢みたいな毎日だった。
蔑まれても、バカにされても、顔を上げれば本物の吉備さんがいる。それだけで、どんな理不尽にも耐えられた。
元々、気弱でも内向的な性格でもない。言い返そうと思えば言い返せたし、手を出されれば返り討ちにできる自信だってあった。
でも、そうはしなかった。問題を起こしてクビになんてなったら、もう吉備さんと会えなくなってしまう。
きっと、吉備さんは俺の事なんて知らない。でもそれでいい。推しに認知されなくても、ただ一方的に見ていられるなら、それだけで十分幸せだ。
そう思っていたのに、どうして俺は、今その推しとちんこを擦り合わせているんだろう。
なんで、こんなにみっともない姿を晒しているんだろう。
与えられる快感に身体がどんどん熱くなって、視界がグラグラと揺れ始める。吉備さんの性器が脈打っていて、それよりもずっと早い速度で自分の心臓がバクバクと鳴っていた。
「き、びさんッ…ん、あぅ゛ッ」
ゾクッと背筋が痺れて、ドピュッと精を吐き出す。同時に吉備さんのモノからも白濁が溢れた。
──さっき吉備さんに『かわいい』って言われたとき、発情するかと思った。
急に、全身の血が沸き立つ感覚がして慌てて逃げた。予備の抑制剤を飲んで戻って来たら、俺の携帯見てるし、ロックも解除されてるしでめちゃめちゃ焦った。
「あーあ、俺の手こんなに汚して……ほら、舐めて綺麗にして」
白濁で汚れた吉備さんの手が、目の前に差し出される。心臓がうるさいし、達した余韻で頭が熱に浮かされて、考えるでもなくその手に唇を寄せた。
「ン…ぁ、ふ……ッ…」
「……本当に舐めちゃうんだ?」
吉備さんが小さく笑いながら何か言ったけど、指を舐めるのに必死で気が付かなかった。
生臭くてしょっぱい味。
それが自分の出したモノだと思うと気持ち悪い。でも、吉備さんのモノも混ざっているのかと思ったら興奮した。
一本一本の指に丁寧に舌を這わせ、余すことなく精液を舐めとっていく。細くて長くて、少し骨ばっている、男らしい綺麗な手。
本物だ。本物の吉備さんだ……。
ドロドロに溶けた思考が理性を失い、まるで本当に淫乱なメス犬になった気分だ。
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