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第二話「推しの押しが強い」⑤
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「あ、居た! 探したよ、なおちゃん」
バタバタと後ろから足音が聞こえ、ゆっくりとそちらを振り返る。ニコニコと笑みを浮かべながら吉備さんが近づいてきて、気まずさにすぐに顔をそらした。
「昼休みいなかったから、まだ調子悪いのかと思って」
「心配したよ」と髪を撫でられ、思わずその手を叩き落とす。
「ッ……」
「……す、すみません」
驚いた顔をする吉備さんに小さく謝って、距離を取った。
今は、触られたくない……。
「…………?」
訝しむように眉間にシワを寄せ、吉備さんが俺の顔をのぞき込む。泣いたせいで赤い目も、口元に残ったテープの跡も見られたくなくて、ぎゅっと目を瞑ってうつむいた。
「ッ……」
突然、吉備さんが俺のあごを掴んだ。乱暴な手つきで無理やり顔を上げさせられ、ビクッと身体が震える。
驚いて目を見開くと、見たことがないほど怖い顔をした吉備さんと目が合った。
「……誰にやられた?」
低く感情のこもらない声が、ひと気の無い廊下に響く。初めて聞く吉備さんの冷たい声に、急に涙が込み上げた。
「ッ…、ぁ……」
せきを切ったように溢れ出す嗚咽に、慌てて自分の口を手で塞ぐ。これ以上、吉備さんに情けない姿を見られたくなかった。
「……ごめん」
吉備さんはそう言うと、俺を自分の胸元に抱き寄せる。ボタボタと落ちる涙が、吉備さんのシャツに吸われていった。
スーツ越しに伝わってくる体温に、強ばっていた身体から知らないうちに力が抜けていく。
「ごめん」
吉備さんが何度もツラそうな声で謝ってきて、余計に涙が止まらなくなる。
オメガである以上、いつかこういうことが起きるとわかっていた。だから、本当は距離を置くべきだったのに、この人のことが好きで好きで堪らなくて、そばにいることを望んでしまった。
情けなく吉備さんの胸に頬を擦りつけながら、震える指でシャツを掴む。
本当は、こんな風に抱きしめてもらえる立場じゃない。
俺はどうしたって虐げられる側のオメガで、この人は人を従わせる側にいるアルファだ。
そもそも同じ会社で働かせてもらえていること自体、夢みたいな話だった。
吉備さんのシャツを掴む手に力を込める。応えるように強く抱きしめられ涙が溢れた。
俺はわがままだから、オメガの分際で生意気だとわかっていても、そんなに簡単にこの人を諦められない。でも、確かに恋人だなんて分不相応な関係だった。
だから、これで最後にするから。
もう両想いだなんて夢は見ないから。でも、その代わり──
「ッ……抱いて、ほしッ……」
嗚咽に混ざってほとんど聞き取れないような声で、最後の願いを吐いた。
────
「あ゛ッぅ……ンッ…!」
吉備さんが触ったところから、ゾクゾクしたものが駆け上がってくる。情けないくらい身体が震えて、全身が焼けるように熱い。
「おれ、きたないッ……汚いからッ」
快感に浮かされた頭で、うわ言のようにそう繰り返す。
「汚くない、大丈夫」
ちゅっちゅっと吉備さんの唇が頭の先から足先まで、丁寧に身体中に降り注いで俺の心臓を早めていく。
仕事の途中だったはずなのに、吉備さんはなんの迷いもなく俺を自分の家に連れて帰ってくれた。前と同じベッドに寝かされ、犯されてぐしゃぐしゃになってしまっていたスーツが床に落とされる。
「や゛ぅ…ぁ、ッ…」
胸元に舌が這い、ピンッと上を向いた突起を刺激する。恥ずかしさと気持ちよさで、頭がどうにかなりそうだ。
枕の端をぎゅっと掴んで、キツく目を閉じる。目の前に広がる卑猥な光景をとても見ていられなかった。
「あぁッ、は、ぅン゛ッ……」
ぢゅうっと乳首を吸われ、堪らず声が漏れる。足の間に座る吉備さんが前屈みになるたびに、シャツ越しに固い腹筋と自分の性器が擦れた。
上を向いたソコが、擦られるたびにビクビクと震えてしまう。
「うぅ゛〜ッ、ぁ……」
指の腹でコリコリと乳首を転がされ、堪えきれずにうなり声をあげた。
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