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だってあれは昼間の続きだった。優しくするつもりだった。なのに酷いことをして、ゆうくんを泣かせた。相手がひいひい言って悶えるのは楽しいけど、ガチ泣きだったし。…………痛めつけたかった。酷くしたかった。もっと無様な姿にしてやりたかった。あのまま死ねばいいのにと思った。度を超してるよ。
愛はなかった。
好きなら優しくしたい。
「…………………………あんたDVとかしないでよ」
花城はどんよりした瞳で僕を見る。そんなことしな……………い、よ? いや、既にやってることなのかも。
殴る蹴るじゃないけど、勝手に監視してるし、それなりにあれこれ強制はしてるし。
「僕は束縛の強い人間なんです」
「そんな言葉で誤魔化さないで」
「ゆうくんが許してくれるんだよね」
普通ならとっくに逃げ出してることを、どうして彼はさらっと流すんだろう。もっと怒っていいのに。もっと僕を問い詰めるべきなのに。やっぱりゆうくんも頭おかしいよ。それか本物の馬鹿だよ。…………なんて、人のせいにするのが一番最悪だよね。
「許されてんの? むこうが我慢してるだけじゃない?」
花城は今日は真っ赤なワンピースにするらしい。目がチカチカする。ゆうくん、我慢してんのかな。そんな風には見えないけど。あと、じっと耐えるような性格でもないし。本気で嫌なら、喧嘩になってでも主張をきちんとする子だ。
「花城」
「なに」
「キスしない?」
「…………………」
何度かしたことがある。勿論、お互い微塵も気持ちはない。モノにキスするのと同じだ。リップクリームのほうが花城の唇をよく知っている。その程度。花城は本来誰ともしたくはないし、僕は女とはしたくない。暇潰しにねだってみたら、やってくれた。やったところでなにも変わらなかった。それでも極たまに、僕は現実が嫌になったとき、友人に甘える。
浮気になるから嫌だ、と花城はチョコレートを取り出して僕の唇に押し当てる。そっかぁ。浮気になるのか。まったく気持ちがなかったとしても、人間相手は駄目なのか。…………そうだよね。僕だって、ゆうくんが、例えばマネキンにキスしたとして、そんなとこを見たら絶対に激怒する。チョコレートは許す。
好きとか嫌いとか、めんどくさいなあ。呟いたら、それは聞かされてるこっちのセリフだし、だからあんた今まで適当に遊んでたんでしょうと笑われた。
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