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可愛い人
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「今、なんと?」
「Ωの君にじゃない、君自身に会いたかった。…これ以上何回も言わせるな」
目の前の男がぎこちなく、ゴツゴツとした掌で顔を覆う
いや、この人は見合い相手の弟であって…
何故この俺に?
雪の頭が、目の前の男のひょんな言葉のせいでぐるぐると回る
「…なんか、可笑しいですね。貴方」
「え?…ぁ、なにか変な事を言っただろうか」
先程まで照れくさそうにしていた癖に次は焦った様に
首を傾げている。
「変な人…ふふ、まぁいいや…面白い人ですね。貴方の名前は?」
「面白くはない……天海 鷹博だ。鷹博でいい」
「鷹博さんね、おっけー」
俺の名前は言うまでも無いだろう、会いたいと言うくらいだから知っている筈だ。
「で、本題なんですけど。どうして俺に会いたかったんですか?1度会った訳でもなさそうですし」
こんなに大きい犬みたいな人を、1度見たら忘れるはずがないだろう。
それに、大きい身体に圧倒されて気づかなかったけど…
形のいい眉に肉食獣の様なキリ、とした男らしい目。
吸い込まれそうな黒い瞳に鼻も高くて
唇も少しかさついてはいるがそれこそ薄くて形のいい。
(…よっちゃんが見たら騒ぐだろうなぁ)
面食いの幼なじみの事をふと思い出す。
幼なじみのよっちゃんこと義樹はαでありながらΩの
雪ととても仲がいい
雪が唯一好きなαも義樹だけだ。
「いや…」
鷹博がなにか言おうとして口を閉じる。
会ったことはないのだろう、雪はそう勝手に解釈すると
目の前の料理を口に含んだ。
「…もしかして、Ωと認識がないから喋ってみたかったとか?さすがにそんなことないよねぇ…」
その瞬間、鷹博の頬が少し染まる。
「え?…あの、鷹博さん?ほんとに?」
「それ以上聞かないでくれ…」
こ、この人…
「ぷ、ふははっ…ねぇ、ほんと?鷹博さんそんなにカッコイイのにΩと喋ったことないんですか?」
「う、うるさい…怖いと言って誰も近寄らないんだ」
「本当ですか?こんなに可愛いのに?」
こんなに大きい人に対して可愛い等、思うはずがない。
しかし可愛いと口に出してしまうほど、この人は初心で
αとは思えなかった。
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