アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
フレンチトースト
-
「ふあ・・・」
青臭い匂いがして、くらっとした。改めて、今自分たちが何をやっているのか、実感させられた。遊園地に行ったとき握った手を、汚している。俺の汚い汁で、汚している。
「ハルが僕を汚してる気がするんなら、僕もハルのこと、汚すね。」
にち、と音を立てて、ルカはわざと俺の手に体液を擦り付けてくる。
「ん・・・」
甘くて独特の匂いに、脳天がしびれる。
「これでおあいこでしょう?」
俺の手を掴んで、ルカは自分の体のほうに持っていく。
「あ・・・」
手が持っていかれる先を見ると、ルカも勃起していた。
「ルカも、・・・勃起とかするんだ。・・・」
「・・・当たり前でしょ。・・・僕のこと何だと思ってたの・・・?」
触ってみると、柔らかかったそれが少し芯を持ち始めた。
「は、はずかしっ・・・」
俺は、思わず口に出していってしまう。ルカは恥ずかしくないんだろうか。
「・・・恥ずかしがられると、ちょっといじめたくなるんだけど。」
「・・・いじめないでくれ。」
…やっぱりルカはサドだと思う。
「じゃ、もっとして。」
黙ってルカのを撫でていたら、生き物みたいに動き出してびっくりした。
「へあッ!?」
「・・・ここ、自分のとか見てるでしょ?何でそんな反応・・・」
「俺、あんまり自分でしたことない・・・」
それを聞いたときのルカの目の輝きを、多分俺は一生忘れられないだろう。
「え・・・?ほんとう?・・・じゃあ、色々教えてあげるね。」
「ルカ、怖い。」
ルカは思っていたより淡白でなくて、むしろ俺より色々経験しているようだ。
「ね、へんなことしないって言ったけど…やっぱ、していい?」
ここまで進んでしまったら、だめとは言えないだろう。
「うん。」
ルカは俺の腰を手で掴んで、自身の体に引き寄せる。
「・・・ハルさ、ガタイがいいくせに腰周り僕と同じくらいしかないの、ずるいよね。」
「そんなこと言ったらルカの身長が俺は羨ましい。」
そんなことを喋っている間に、ルカは俺の半端に露出した下半身を全部脱がせた。ついでに、と言う感じでルカは、俺のシャツも捲り上げる。
「・・・きれいな腹筋だ・・・」
指で下腹部をなぞられて、舐めるように体を見られて。
仕返しにこっちも見てやろうとして、暗闇の中で月明かりを頼りに目を凝らす。ルカの体は、白かった。白くて、細くて、脆そうにも見えた。
こんなことをしていても、ルカはいつもどおり優しい目をしている。
これから、ルカのいろんな表情を知っていっても、俺はこの表情が一番好きだと思った。
「ルカ、すき。」
空いているほうの手で頭を抱き寄せると、
「僕もハルが好きだよ。」
と真裸の下半身をくっつけられてしまい、俺は身じろぎする。
「兜あわせ、って、知ってる?」
「ルカはどこで覚えてくるんだ、そういうの。」
「まぁ、興味があれば色々調べるよ。」
俺のと、ルカのをあわせて手で包んでくるルカ。
粘膜同士が触れて、・・・
もう、だめだ。腰が抜ける。
さっきまで、キスだって初めてだったのに。こんなの、ッ・・・
「ハルもさわって。」
と手を巻き込まれてしまった。握られている方と反対の手で腰を抱き寄せられ、意識の逃げようがない。
まずい、何か熱くなってきた。自分の手が触れてるのか、ルカの手が触れてるのかわからない。ただ、ルカのがどんどん硬くなってるのはわかる。
「あ、う・・」
自分のものと思えない、か細い上ずった声が出る。でも声を出していないと、下半身が出している水気のある音で、頭がどうにかなってしまいそうだった。さっきから俺のもルカのも透明な汁が出ていて、それが混ざって・・・
エロい。音も匂いも、肌色しかない視界も。
「はあ、ぁ、・・・ハル、、、」
「ん、あぁ・・・、る、ルカっ、」
ルカの手に力がこもる。ぐっと腰を抱きしめられて、ルカの息を胸元に感じた。いきなり背中が反ったのを感じて、あそこが痛くなった。後は頭がぼーっとして。
「・・・いっちゃった?」
何も答えられない。俺の体、今どうなってるんだろう。なんだか宙に浮いてるようで、変な感じがする。それなのにルカは、また俺の手に上から手を重ねて、こすろうとしてくる。
「あ、ぁ、・・・」
体が上手く動かず、またぐちゅぐちゅ音を立ててしごかれる。
「はる、はるっ、・・」
ルカがラストスパートを掛けているのか、いっそう激しく手を動かす。鎖骨の辺りに痛みを感じるのは、俺を呼びながら時折噛んできているのだろうか。
「い、ぎぃ・・ッ・・ア、は、ぁ、・・・」
痛さとくすぐったさと気持ちよさが同時に来て、俺は自分が生理的な涙を流していることに気が付いた。ああ。もうわけがわからない。壊れる。頭がショートする。
は限界なんかもうとっくに超えているのに、ルカは容赦なく俺を快感で追い詰める。
「はーッ、は、っあー、・・・ 」
突然ルカの動きが止まった。と同時に熱い何かが腹に掛かる。ルカもイけたんだろうか。ルカが、マグマみたいに熱いそれを指で掬って、俺の口元に近付けてきた。
「はる、しゃぶって。」
汚れて、と言うルカの目つきが険悪で淫靡で、ぞくっとした。
「や、やだ、っ、・・・ルカ、怖い・・・、」
顔を背けて拒否すると、ルカはそれ以上は強制はしてこなかった。
二人で向かい合って寝そべっているのが恥ずかしい。俺がルカの顔を見ずに済むように、もう一度ルカの頭を抱くと、ルカは、ベタベタの手で、俺のこれまたベタベタの手を握ってきた。
「・・・」
「・・・」
心地よい沈黙が続く。言葉なんてなくても、お互いに満たされていることがわかる。
暫くして、ルカが口を開いた。
「あのさ、僕、絶対こんなことできる日は来ないと思ってたから・・・今、すごく幸せです。」
「・・・これから何回でも付き合う。」
俺の答えに満足したのか、ルカは顔を上げて、俺に口づけてきた。唇が触れ合うだけのキスに、俺は安心感と幸福感を覚える。
暫くして、ルカは唇を離した。ベッドから起き上がってごそごそとティッシュを取り出し、自分の手と一緒に、俺の手も拭いてくれる。
「ココも拭こうね。」と、俺の股間も拭いてくれる。
それはさすがに恥ずかしくて、
「介護するなよ、まだそんな年じゃない。」
と、ティッシュを奪い取って自分で拭いた。
それから何かを少し話して、俺たちは寝てしまった。
目覚めたのは、甘い匂いに鼻をくすぐられたせいだった。
「おはよう。」と、にこやかなルカの声が聞こえる。
寝室とベッドが一体化した狭い部屋の隣、これもまた狭いキッチンで、ルカが朝食の準備をしていた。
「おはよう。」と返事して起き上がる。朝日が目に眩しかった。眩しくて、ルカはその日差しの中でいつもどおり動いていた。
高校の時とそう変わらないルカを見ていると、昨日のことがまるで夢だったみたいで複雑な気分だ。
でも洗面所で鏡を見たら、昨日噛まれた痕が残っていた。それをちょっと嬉しいと思ってしまう。体に痕を付けられて嬉しいなんて、俺はもうダメかもしれない。
台所に行くと、ルカがフレンチトーストを焼いていた。
「明日から梅雨入りだってさー。」
「へぇー。」
後ろからルカを抱きしめると、やっぱり甘い匂いがした。
ルカは、あまり動じない。料理に夢中だ。
「向こうで座って待ってて。」
料理に夢中かと思えば、ルカはぐるっと首を回し、俺にキスしてきた。そうされると昨日のことは現実なんだと思って、俺は嬉しくて、恥ずかしくなる。
・・・いや、スゲー恥ずかしくなってきた。もうダメだ、どこかに埋まってしまいたい。
「お待たせー」と、ルカが湯気を発するフレンチトーストを持ってリビングへ戻ってきた。これはまずい。ルカの顔がまともに見られない。
「え?何?体調悪い?」
ルカが俺の顎をそっと掴んで目を覗き込んでくる。
「ちがっ・・・、昨日の、恥ずかしくて。」
「うわぁ・・・僕触れるまいと思ってたのに・・・」
「ゴメン・・・」
「・・・」
「今日この後、どっか行く?」
俺が黙っていると、ルカは違う話題をわざと振ってきた。
「うん。」
「まぁまずはご飯食べようか。・・・頂きます。」
ルカが手を合わせ、フレンチトーストに手を付ける。俺も頂きますと言ってフォークでフレンチトーストをちぎり、一口食べた。
じゅわっと、甘い卵液が口の中で広がる。パンがふわっと口の中で広がる。甘い中にも小麦粉の味がして、ほんとうに幸せになる。
「うまっ」
なぜこんなにもルカの作るメシは美味いのだろう。俺は食事のたび感動してしまう。
「ハルがそう言ってくれると作り甲斐あるなぁ。」
ルカはどこか誇らしげだ。
「ほんとうに美味いから美味いって言ってるだけだ。」
「フフ・・・昔、僕が料理が趣味だって言うと、変な顔されることが多かったけど・・それって女の子みたいで変だってよく言われた。」
でも、ハルはそういうこと言わなかったよね、と、ルカは笑う。
「別に、好きなことしてるのが変だとは思わなかったから。」
「嬉しかったんだ。」
俺にとっては、そんなのは特に気にしてないことだった。でもルカからしたらすごく重要なことだったのだろう。話すルカの表情は明るい。
その表情を見ながら、ルカも俺が知らないところで傷付いたり葛藤しているのかもしれないと思った。でも、これからは俺が一緒にいてやれる。落ち込んでいる時は、励ましてあげられる。
そう思うと、なんだかすごく幸せな気がした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
10 / 15