アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ちらし寿司
-
最近時間が過ぎるのが早い気がする。
そういう話を友人にしたら、恋が実ったんだな、と囃された。客観的に見ても、どうやら俺は生き生きしてるらしい。
あの後泊まりに行ったら、ルカはパスタを作って待っていてくれた。
カルボナーラソースの掛かったパスタはおいしくて、おかわりしようとしたらルカに「太るぞ。」と止められた。・・・心配してくれているのはわかるが、もっと食べたいくらいにおいしかった。
その夜は…あまり思い出したくない。
・・・そういう行為をする前に風呂場で浣腸することになったのだけれど、ルカの前で漏らした。
トイレに行かせてくれと言っても、ルカはここでして、と言う。その目が真っ暗で好きになれなかった。
結局我慢できずにやらかしてしまって、もう俺は恥ずかしくて情けなくて死にたくなったのに、ルカは瞳孔全開で「そういうのもいいね、かわいい。」とか言ってきて、かなり怖かった。
もう二度としないで欲しいと言うと、ルカは謝った。謝ったけれど、また何か怖いことをしてきそうだと思う。これは、ルカの病気なんだろうと思った。俺は汚いのとかはダメな人なので、ちょっと引く。ルカのこういうところは嫌いだ。
その後、ベッドで指を入れられたけれど、あまり何も感じなかったのでちょっとほっとした。痛いんじゃないかと思っていた。
指が3本入ってきたらさすがに異物感があって、苦しいと言ったらルカはやめてくれた。
その後は前と同じようにして性欲をどうにかした後、ひたすらいちゃいちゃしていた。
それも飽きたら二人でテレビなんか観ていた。
こんなもんか、と言う感想だ。エッチなことをするより、友達みたいに過ごすほうがいいと思った。自分の体があまり反応が良くないのが、残念な気もした。
でもルカは満足してくれたようで、こういうのは段々と気持ちよくなるらしいから、またしようね、と言ってきた。
いいけど浣腸した後またトイレ行かせてくれなかったら二度としないからな、と念を押すと、ゴメンどうかしてた、と申し訳なさそうに笑った。
ルカは、エッチなことになると頭のネジが外れてしまうのをどうにかしたほうがいいと思う。
一方で、俺は人間として一番尊厳に関わるところを見られたので、それでも引かない、と言うか、むしろ見たがったルカにちょっと安心している。
きっとルカの方から俺を離れていくなんて、ないんだろう。そして、俺もルカから離れたいなんて思わない。
俺たちには結婚というゴールなんかなくて、気持ちなんていう不安定なものしかないから、どうしても不安になってしまうけれど。
今日もルカのところへ泊まりに行く約束をしていた。今日は、ルカにいい知らせがあった。
この前書いた小説は落選したものの、ある出版社の編集者の目に留まっていた。
そうして俺は、零細の雑誌ではあるが、8月から連載が決まったのだ。
事情を聞けば、ちょうどある作家が小説を書けなくなり、穴埋めに俺のみたいな作風が雑誌に欲しいと思っていたらしい。
他の受賞者は作風が求めているものと違っているとか、受賞者がもう連載を持っていて書けないとか、いろんな偶然が重なって、どうやらぎりぎりでいつも受賞を逃していた俺に仕事が回ってきた。
連載が決まったのは、運でしかない。
でも俺は、自分の作品を見てもらえることが嬉しいと思った。打ち合わせも他の大作家の合間にちょっとやっただけだったけれど、それでも編集者さんは時間一杯でできるだけ話を詰めて、これからの動きを話し合ってくれた。
そういう人たちにも報いたいと思う。俺ができることは相変わらず書くことだけだから、それを精一杯やりたいと思う。
打ち合わせを終えてこれが夢じゃないことを確かめてから、俺はこのことをルカに連絡した。
ルカは、かわいいスタンプを大量に送って祝ってきた。
「おめでとう」とか、「congraturation!」とか。
最初に報告するなら、ルカが良かった。
俺のことをいつも応援してくれたルカが。
今日は、そのお祝いも兼ねてのデートだった。
ルカの家のチャイムを鳴らすと、はーい、と言ってルカがドアを開けてくれた。
「ハル、」
ルカが抱きついてくる。
「どうしたんだ急に。」
「いや、なんだか待ちきれなかった。」
メッセージを送りあったり電話で話している時とか、外で会ってる時はそんな素振りを見せないくせに、ルカは二人きりだとめちゃくちゃに甘えてくる。そういう時俺は、ルカの頭を撫でるといいことを発見した。そうするとルカは、俺の胸にしがみついて離れなくなる。かわいい。
片方の手でルカの頭を撫でながら、もう片方の手でドアを閉めた。
猫背になって俺の胸へ頭を擦り付けてくるルカが可愛くて、俺はルカを姫抱きに抱いてベッドへ下ろした。
「っっ」途中で腰が死んだが、ルカは落とさずに済んだ。
「今、腰やったでしょ。」カッコつかないんだから、と笑うルカ。
「うるさいうるさい、」と、キスで唇を塞ぐ。
久しぶりすぎて、俺もちょっと甘えたい気分になっていた。
唇を合わせるだけのキスを続けていると、ちょっと興奮してきた。
そっと舌を入れようとすると、ルカは顔を離した。
「ダメだって、それすると。」
「だめ?」
「最後までしたくなっちゃうから、だめ。」
無言でルカの顔を見ていると、ルカは暫く目を合わせていたが、やがて伏目になった。
「・・・俺の勝ち。」
俺は、ルカの目もとの陰影の綺麗さに気を取られないように、わざとふざける。
「勝ち負けじゃなくない?」
ルカが俺の髪を軽く引っ張る。
「・・・勝ち負けかもしれない。」
「・・・もう、あんまり誘惑しないでよ。」と、ルカは俺の体を押し返してきたので、体を離した。
俺は、今日はルカを抱いてみたいな、なんて思っていた。
俺にとってはルカは可愛かったり男らしくてドキドキしてしまったりする。
優しいと感じることもあれば、怖いと思う時もある。
この前みたいな変態性を見せられると、気持ち悪かったりもする。
いろんな面があって、なんだか掴みどころがない。抱いてしまえばわかるだろうか、なんて。
「やらしいこと考えてるでしょ」とルカに言われる。
俺の情報はルカに筒抜けなのか。
「考えてた。ルカのこと抱きたい。」素直に言うと、
「いや。」ときっぱり断られた。
「なんで。優しくするから。」と食い下がると、
「じゃあ、ハルは同性同士のやり方とか、調べたことある?」と聞かれ、言葉に詰まる。
「うっ」
「やり方知らない人に抱かれたくない。怪我するかもしれないし。」
だからごめんね、と言われて、俺は少しがっかりした。
がっかりしながらも、と言うことはルカは俺とそういうことをするために調べたんだな、と思った。
それはちょっと嬉しいことだった。俺以外の男の人とそういうことをしたりしたのかもしれないけれど。
「じゃあ、ルカはそういうの調べてるんだ。」というとルカは恥ずかしそうに、
「まあ、ゲイだから。」としか言わなくて。
どっちなんだろう。知りたいような、知りたくないような。
「とにかく、ご飯食べてからね。」とルカは起き上がってしまった。
なんなんだ。ルカが甘えてきたからそれにのったのに。生殺しにされたようで、ちょっと面食らう。
「ルカから抱きついてきたくせに」と言葉に出して言うと、
「ゴメンゴメン、ハルさんと会えて嬉しかったから。」と言う。
ルカは謝るのが上手い気がする。
そう言われてしまうと、そんなに嬉しかったのか、といい気になって、俺はもう追及する気をなくしてしまう。
調子に乗って「後でめちゃくちゃ可愛がってやるよ。」とか言ってしまい、
「嬉しいけど、抱かれる側がそれ言う?」とツッコまれた。
「・・・そうだな。」我に返ると平然とエッチな話をしているのが、段々恥ずかしくなってきた。
「とにかく、連載決まっておめでとう。」
と、ルカも恥ずかしくなってきたのか話題を変える。
「うん。ありがとう。」
実は、連載ものの一話を持って来ていた。本当は、担当さんよりも先にルカに見せたかった。
「お祝いなのでちらし寿司です。」と、ルカはちょっと誇らしげに冷蔵庫を開けた。
そこには、酢飯に錦糸玉子と海鮮をちらしたどんぶりが二つ並んでいる。
「豪華・・・大変だったろ。後で材料費払うよ。」
俺はみみっちい性格なので、きっと費用が掛かっただろう、と考えたりする。
「いいから。出世払いにしといてあげるから、頑張って小説書いて。」とルカ。
「ありがたい。ルカが神様にみえそう。」と言うと、
「いやいや、出世払いだからね、後で10倍にして返してもらう。」とルカが言うので、俺は吹き出してしまった。
「10倍って!がめついな。」
「20倍でもいいかな。」わざと大真面目の顔で言うものだから、俺はその茶番に乗る。
「わかった、ちゃんと返しますよ。大作家になって六本木かどっかで高級寿司をご馳走する。」
後半は半ば本気だ。
俺を後押ししてくれるみんなが本気なのだから、俺が本気にならないでどうする。
「やった!楽しみ。・・・あ、ハルさん、テーブル拭いといて。」
俺がテーブルを拭いていると、ルカはグラスに何かを入れて持ってきた。
「何それ?」
と訊くと、
「梅酒。」とルカが言う。琥珀色の液体は、甘い匂いがした。
「作ったの?」と訊くと、
「うん。去年作ったのができた。」今日はお祝いだからね、と、ルカは嬉しそうだ。
俺は割と甘党なので、梅酒はなかなか嬉しい。
チラシ寿司も運ばれてきて、たった二人だけのささやかな宴が始まった。
チラシ寿司には、新鮮な魚介が使われていた。
マグロとサーモンと玉子の鮮やかな暖色は、見ているだけでも楽しい。
脂の乗ったサーモンが、舌の上でとろっととろける。
イカの刺身はコリコリしていて、食感が楽しい。
イクラも乗っかっていて、本当に豪華だ。
「うまい。」
「ハルがうまいって言うと嬉しい。」
ルカは満足げににこにこと笑っている。
梅酒も飲んでみた。
カランと氷が入った梅酒は、ちょっと汗ばむような最近の気温にいい。のどがすっと涼しくなる。
「いっつも悪いな。」と、俺はちょっと申し訳なさを感じて言うと、
「食事って生きる基本でしょ、ハルさんのその基本を僕が作ってるのかと思うと・・・ちょっと興奮する。」
なんてまた変なことをルカが言い出すので、別の意味でも涼しくなった。
「ルカ、お前食べ物に何か入れたりしてないよな?」
「何かって何?」
「食べ物ではないやつとか。」
「・・・大丈夫だよ、さすがに食べ物に何か混ぜたりとか、僕でもしないよ。」
疑いの目で見たせいか、ルカもジトッとした目でこっちをにらむ。
「ルカが興奮するとか言うから・・・」
「だからって食べ物に僕の体の一部とか入れないよ、そんなことしたら美味しくなくなるじゃん。」
「疑ってゴメンだけど、いつも変態くさいことするから疑っちゃうんだぞ。」
「じゃあ、食べ物だけは信じていいよ。僕が料理に入れるのは愛情だけ。」
愛情だけ、か。それを聞いて、ちょっと嬉しくなった。
そのせいで、食べ物だけは、のだけは、の部分に引っかかりを感じても、許す気になる。
「・・・もう、口が上手いんだから。」のろけるみたいな口調でそう言うと、
「本当だもの。」と、ルカは言って梅酒をぐいっとあおった。
どうやら、自分でも恥ずかしくなってきたらしい。
料理がなくなると、ルカは洗い物を始めた。
俺はやることがないので、歯を磨きに風呂場へ行く。
この前パッケージを開けたばかりの歯ブラシが、ルカの使い古した歯ブラシと一緒に並んでいた。
・・・いつか同棲できたらいいな、と思う。そのために、俺は貯金を始めた。
就職活動もしている。あっさりもらえたバイト先の内定のほかに、小説を書きながら務まる仕事を探していた。
両親には、大学を出たら就職する、と言っている。あまり心配を掛けたくなかった。
それに、小説で食べていけるようになるまでは別の仕事をしようとしているのは事実だから、嘘をついているつもりはない。
ルカと、ごくごく少数の友人だけが、俺が小説を書いていると知っているのだった。
連載の初稿をルカに見て欲しいと思った。感想が聞きたい。
「ルカー・・・」と呼びかけながらリビング兼寝室へ戻ると、ルカは爪を切っていた。
「ハル、どうかした?」
「いや・・・何やってるんだ?」
「爪切り。」
ルカは俺の意図を察して、説明してくれた。
「こうしないとハルの体の中、傷付けちゃうでしょ。」
「・・・そんなとこまで気を使ってくれてたのか・・・」
「・・・こわ。怖いねぇこの人は・・・ハルはこういうのも知らずに僕のこと抱こうとしてたの・・・?」
確実に切れ痔にされる!と、ルカはふざけて騒ぐ。
「ゴメンゴメン、俺は何もわかってなかった!」
「便の様子見たのも、一応ハルの体調を知っておきたかったっていうのもあるから。」
「・・・・そうだったのか・・・。」
「・・・変態かもしれないけど、ハルさんのこと全部を知っときたいし、あの日は初めてだったから痛い思いとかさせたくなかったし。」
「・・・」
俺は、ルカのことを少しだけわかったような気がした
「まぁ、ハルの情けないところ見て興奮したのは事実だけど・・・」と、ルカは付け加えた。
「・・・・余計なこと言うな、見直せそうだったのに。」
「やっぱ気持ち悪いよね、ゴメンね。」
ルカは、いい感じに酔っている。俺は、聞くなら今だと思った。
「ルカって、何で時々俺のこと喰いそうな目で見るの?」
「・・・そんな目してる?」
どうやらあの目は無意識らしい。
「…ちょっと怖いよ。やめて欲しいとかより、理由が知りたいんだ俺は。」
ルカはちょっとためらってから、話し出した。
「・・・僕さ、多分どっかちょっとおかしいんだ。」
「うん?」
「何でなのかわからないけど、時々ハルのこと、食べちゃいたくなる。好きすぎて。」
「・・・俺のこと、殺したいのか?」
「そうじゃないけど。大事にしたいのに、滅茶苦茶にしたくなる。・・・気持ち悪い?」
ルカは、緊張した表情で、慎重に言葉を選んで話していた。否定されるのが怖いのだろうな、と俺は思う。
俺もだけど、ハルも臆病だ。
「・・・変わってるな、って思う。」
「・・・中学の時、男の人を始めて好きになった。同級生だった。その時は、こんな風な気持ちはなかった。」
「・・・これ、さっきの話と話題、繋がってるのか?」
「うん。・・・たぶんさ、その時に失恋したのを、ずっと引きずってるんだと思う。」
「何があったの?」
「僕がその子のこと好きだって、すぐに学校中に知れ渡った。まぁ、中学生なんてみんな子供だからさ、僕だって。」
「何かされたのか。」
「いや、何もないけど、でも、陰で色々言われたりとかさ、僕も気にしなきゃ良かったんだろうけれど。」
自分の恋心を異様な目で見られたり好奇の目に晒されて、辛かったのだろう、と俺は思った。
俺も、小説を書いていてそういう風に当たられた経験はあるから、わかるような気がした。
「結局、中学はぎりぎりの出席日数だったんだよね。高校は、中学から遠いところ選んで。後は、ハルが知ってる僕だ、大体。」
ルカは俺が知る限りでは、ゲイである素振りを見せたことがなかった。あと、一部の人間には、何かいつも近寄りがたいといわれていたのを思い出す。
「・・・辛かったな。」
「・・・なんだか、自分だけわけのわからない怪物になっちゃった気分だった。前に書いた小説、覚えてる?」
「・・・文芸部の。」
そうだったのか。あの話に出てくる怪物は、ルカ自身の心だったんだ。
「あの主人公は、僕そのものだ。他の人が羨ましかった。普通に恋愛できる人が。・・・多分ね、ハルのこと、ちょっとだけだけど、不安なんだ。
ハルは僕と違って怪物じゃないから。いつか僕の正体に気付いて、離れていくんじゃないかって。」
だからそうなる前に食べちゃいたい、と、ルカは言った。
「・・・食べないでくれ、離れないから。」
食べてしまいたい、というのは、どうかと思う。と言うか、俺ってそんなに信頼がないのか?
「実際にはしないよ、食べたらハルいなくなっちゃうし。」
・・・いろいろ言いたかった。でも、多分何を言ってもルカの苦しみには届かない気がした。
俺の悩みとかだってルカにはわからないし、俺もルカの気持ちに完全になれるわけではない。
だから、迷った末に言葉になったことを伝えた。
「人間誰しも怪物みたいな面はあるだろ。でも、俺にはルカが怪物みたいには見えないけど。」
沈黙があった。心地よい沈黙だった。
俺は、ルカの隣に座った。
「・・・僕、ハルが家に来ない時はものすごくだらしないけど、」
と、ルカが恐る恐る、俺を試すみたいに言う。
「そんなこといったら俺なんか実家暮らしだよ、まだ。」
「でも僕、仕事先でも遅刻して怒られてばっかりだし・・」
「・・・俺なんか、小説で食っていくとか夢みたいなこと言ってんだぜ。」
「・・ハルさんと会うとエッチなことばっか考えてて、どうしようもないし。・・・」
「・・・そんなもんだろ。・・・俺もだよ。」
「それでも、一緒にいてくれる?」
俺は、ルカの目を見てしっかり発音した。
「一緒にいる、お前がもういいって言うまでは、一緒にいる。」
これで、ルカがもう悩んだりしなくなるだろうか。そうなって欲しかった。
「・・・ハル、僕も、君と一緒にいたい。」
ルカが俺の手を取って、言う。結婚式みたいだな、と思った。
「同じ怪物なら、ハルの涙を吸い取る怪物になろうかな。」
と、ルカは言った。
「・・・ロマンチストだな。」
「フフ、って言うか、それって妖怪みたいじゃない?」
「怪奇、妖怪涙すすり!ってか?」
「うん、ハルの悲しい気持ちとか、悔しさは全部食べてあげる。」
俺は、悲しい気持ちを料理して、ぱくぱく食べてしまうルカを想像した。
ルカといると、俺は自分の気持ちをさらけ出せる。
ルカは、俺のぐしゃぐしゃになった気持ちが整理されるまで、いつも寄り添ってくれる。
どうしようもない悲しみは消してくれるし、時には、ユーモアで悔しさや苛立ちを調理してくれる。
そうやって、俺が挫折を血肉にできるように、食べやすいようにしてくれる。
「・・ありがとう。俺も、ルカにそうしたい。」
俺たちは未熟で、まだまだ学ばないといけないことがたくさんある。
俺なんて特にそうだけど、傲慢だったりもする。
二人で、ちゃんと生きていきたいな、と思った。
と言うか、ルカがいないと俺はちゃんと生きていけない、と思った。
それぐらい強く、ルカに恋をしている。
「・・・そうして。・・・ハル、僕のそばにいて。」
ルカ俺を抱きしめてくる。その温かくて柔らかな感触を、俺は抱き返す。
大好きだ。俺は、幸せで一杯だった。
いったん体を離し、ルカの唇にキスをする。やっぱり結婚式のようだ。これは誓いのキス。
ルカの柔らかな唇に口づけていると、俺はこの人とこれから生きていくんだと思って、ドキドキした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
13 / 15