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ボクは不安になる。
彼が何処にいるのか。
彼が何をしているのか。
「高尾くん、すみません、ここ教えてもらってもいいですかー?」
「おー、どこどこ?」
「ここなんですけど……」
部活を終えて、宿題中。
ベッドの上で胡坐をかいていた高尾くんが立ちあがって、ボクの横までやってくる。
高尾くんって飛べるのかな?
不意にそんなことを考えた。
彼は少なくとも壁や窓は通過する。でも、そういう行動以外は、本当に普通の人と何も違わない。現に今もベッドを下りて、机の横に来るまでに床に落ちていた本や鞄を避けながら歩いてきた。道を一緒に歩く時も、向かいから来る人を避けていたし。
「えー、見たい?」
「飛べるんですか?」
「うん。ほら」
まるで床がトランポリンになったかのように軽々、ジャンプする。
「これじゃあ、オレの特技のバック転が意味ないよな~」
なんてぼやきつつ、膝を抱えてぐるぐると宙を回っている。
あ、なんか幽霊らしい。
「オレ、幽霊だしね」
「日頃が生々しい動きし過ぎなんですね。よく分かりました」
「昔のまんまだからねー。体以外は」
彼の笑顔に一瞬、影がさしたような気がした。
「で、えーと、物理?」
「あ、はい」
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