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泡沫2
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立ち上がろうと椅子を引いた所で、ふと我に返った。
もし、これで失敗したら…?
きっともう地下から出して貰えない。
誰にも気づいて貰えない。
それは、ダメ…1番ダメだ
ならここは大人しくして先生の機嫌をとるほうが…
…あれ?そう言えば、先生はなんで僕のこと誘拐なんて…
僕の家に保護者なんていないし、お金は僕が管理してるから受け取ることも出来ない。
ならどうして…
「凪くん」
「ヒッ…あっ、なんで、しょう…か」
無意識に体が固くなる。
「そんな怯えなくていいのに、ほらもうご飯も食べたし寝室に行こうか」
先生は部屋の電気をパチッと消すと、僕の手を引いてリビングを出る。
暗くて、目の前には信用出来ない人がいて、これから何をされるんだろうか、と考えては頭がパンクしそうになる。
サンドバックにするのかな。
一日中殴られたりとか。
痛いのは嫌だな。
あ、でもどうせ殴られるなら体がいいな。
顔だと真斗が心配しそうだもん
…なんて、ここから出れるかどうかも分からないのに。
「ほらここだよ」
着いた先は豆電球だけが光る、黒と白のモノクロな部屋だった。
真ん中には堂々たる大きなベッドがあって、近くに細長い棚もある。
あぁ僕のベッドとは大違い、なんて関係ないこと考えてたりして現実から逃げようとする。
_でも現実はいつも僕を地獄へ突き落とす。
「凪くんはもう何度も経験してるし、そこまで慣らさなくても入るよね。にしても残念だなぁ…凪くんのことこっちに来てからずっと狙ってたのに、あんな野郎に処女奪われちゃうなんて」
ニコニコ
と綺麗に笑いながら、言葉を放つこの人は、誰?
…まだ僕の中にもこの人を先生だと信じる気持ちがあった。
今の言葉で心がパリンと割れたような気がする。
あぁなるほど
結局この人も同じだ。
僕を性的な目で見て、隙あらばと狙おうとする、僕の大っ嫌いな人種。
なんだ、そうだったんだ。
小指の先ぐらいだけど、アイツらとは違うって思ってたのにな。
真斗、僕、なにか間違ったことしたのかな?
なんで僕の周りにはこんな人しかいないんだろうね?
わかんないや。
あぁなんか全部諦めちゃいそうだよ。
真斗、早く。
早く、来て。
僕、もうダメかもしれない。
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