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「新入生代表、須田一誠」
入学式の挨拶は毎年、受験時の首席が行うことがこの高校の伝統だ。
全教科満点近くとった俺は首席となったので、自然とやることになった。
積極的にやりたいわけではないが、同級生も先輩たちも先生も、この時ばかりは俺に注目して、どよめきだっていることに悪い気はしない。
制服をくずして登壇したせいか、すぐ手前にいた古典的な老先生が、この世の終わりかのような顔をしていることに、笑いがこみあげる。
ははっ、そんなにダメかよ。
気を取り直して、体育館のステージに一人立ち、1000人近くいる人を眺めながら、マイクに向かう。
「暖かな春の訪れと共に、私たちは名門・才華高校の1年生として入学式を迎えられました。」
昔からこういうことは慣れている。
緊張がないとは言わないが、そつなくこなせるくらいの度量はある。
前もって用意しておいた挨拶を口にしながら、俺は一人の男を見つける。
探すまでもない、すぐ目に入ってきた。それくらい俺の目にあいつは輝いている。
しかも、先ほどの嫌そうな顔とは違って、俺を見る目は驚きに満ちていた。
首席というだけでそれ相応の恩恵を受けることはわかっていたけれども、この時ほど実感できたことはない。
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