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「一誠、帰ろ。」
後ろの席から呼びかけられ、自然と応じる。
高校生活にも慣れてきた6月下旬。
中間テストが近くなり、勉強を優先するため今日から部活動は完全ストップ。
普段はサッカーばっかやって、サッカー部の奴らといる颯人も、今日からは俺と帰ることにしたらしい。
「バーガー食ってからにしようぜ。晩飯まで待てねー。」
「また?どんだけ好きなんだよ。」
颯人は細身なのに、よく食べる。
寮の食事でもご飯2.3杯は余裕のようだ。
とはいえ、さすが成長期。俺も颯人もいくら食べても太らない。
「今日の晩飯、唐揚げらしいぜ。」
「あたりだな。魚だと食った気がしねー。やっぱ肉だよ、肉。」
「なのに、バーガー食うのかよ。行かなくてもよくね?」
「それはまた別腹。ほら、いこいこ。」
俺の気が変わらないうちに、颯人に押されるように教室を出る。
あれから、颯人と普通に話せるようになった。
誰ともつるむことなく基本一人で過ごす俺とちがって、颯人はかなり明るいムードメーカ―的な奴で、教室でも寮の部屋でもよく話す。
しかも、かなりのかまってちゃんで、一人じゃどこにも行きたくないという。
仲のいいサッカー部の奴からも見放されたようで、俺と共に何回ワックに来たかわからない。
「ほら、ワックのクーポンゲットしたぜ。俺、超ファインプレー。」
「たった20円引きじゃねーかよ。」
ニコニコご機嫌に笑う颯人に突っ込みながらも、その顔に相変わらず見惚れていた。
ようやく自然な形で颯人の顔をじっくり見られるポジションを手に入れられたと思う。
初日こそアホなくらいテンパっていたけれども、部屋が同じってだけで颯人の横にいられるようになったんだから、ラッキーでしかない。
小さい口を大きく開いてバーガーを食べはしゃぐ颯人を黙ってみる。
「…なに?」
俺の視線に気づいた颯人は、頬張りながら俺に目を向ける。
「ソースついてる。」
何もついていない口の横を指で拭ってやる。
「サンキュー。」
何も知らずに再びバーガーを嬉しそうに食べている颯人がたまらない。
ー無防備な颯人。
そんな颯人の服を頭の中でひん剥いているっていうのに。
颯人がバーガーを食べている姿を見るだけで、俺の頭は誰にも言えないことになっている。
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