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高校入学初日、速攻で目を奪われた。
ふわっとした柔らかい髪、綺麗な鼻筋、薄い唇。
なにより、その切れ長な目がいい。
座って肘をついて伏せがちにしている状態でさえ、その目に魅かれる。
すっげぇ…。
突如、教室に現れた綺麗な存在に息を飲む。
思わずたじろいでしまうくらい、光を放って見える。
心臓の音が体中に響き渡り、体温も上昇する。
席に着くこともできず立ち尽くしたまま俺は、そいつから目を離せないでいた。
真後ろの席のそいつは、何か気づいたように身体を起こして俺を見てきた。
目が合った。それだけで雷が俺に落ちてきたかのごとく、衝撃が走る。
やっべぇ…きれいすぎるだろ…。
正面から見ると、さらに格別だ。
俺を見上げてくる想像以上に綺麗な瞳の威力に、戸惑う。
その美貌に心ごともっていかれる。
俺をこんな風にしたそいつは、怪訝そうな顔で俺をみてくる。
眉間にしわを寄せて、なんなら少し嫌そうにしているその顔ですら、ぐっとくる。
なんだこいつ、人間かよ…。
見れば見るほど、あまりの美しさに神聖なもののように思えてくる。
こんなこと初めてだ。
「席つけ!」
大きな声で叫ばれて、ハッとする。
周りを見れば、俺以外全員座っていて、先生らしき男が教壇にいる。
始まりのチャイムでも鳴ったのだろうか。何も気づけずにいた。
とりあえず席に着くけれども、俺の心臓は収まらない。
先程見たばかりの美しさが頭から離れない。
今見たものって現実なのだろうか…。
振り返ったら、いなくなっているんじゃないか…。
それほど現実味がなかった。
早く見たい。もう一度…見たいっ!
俺の想いが通じたのか、タイミングよくプリントを回すことになっていた。前の列から俺のところにまで回ってくる数秒さえ惜しいと思える。
受け取ったプリントをやや強めに奪って、勢いよく後ろを向く。
いた!!!
俺が目にしたものは間違いではなかった。
そして、俺はプリントを渡すことなく、再び見惚れてしまった。
顔がドタイプすぎる…。
「…なんだよ」
ずっと見ていた顔からは想像できないくらいの低い声により、多少現実に引き戻される。
それと同時に、大きくショックを受ける。
こいつ…男か…。
今までの俺は、それすらも気づかないくらいその顔だけに見入っていた。
よく見ると、俺と同じ男ものの制服に、喉ぼとけまである。
男なのか…。男なのかよ…。
「おい!そこの後ろ向いてる奴!早くしろ!」
どうやら俺のことらしい。
プリントを渡して、黙って前を向く。
入学早々怒られたことなんかより、後ろの席の奴が男ということに混乱している。
「新学期から気を抜くなよな、えっと…」
ため息交じりに名簿らしきものを広げてしている担任は、俺の名前を探しだしたようだ。
「お前が…須田?」
さっきまで威圧的だった態度が一転、驚きすぎたのか間の抜けた声になっている。
なぜそうなったかは、1時間後には明らかになる。
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