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「なぁっ!押してってば!」
この調子だと何度も呼ばれていたようだ。
颯人が開脚ストレッチをしてる体勢ですら、顔ばかり見ていたから気づかなかった。
「お前、絶対痛がるじゃん。」
押さなくてもわりと前屈できているが、シーツに身体をつけたいらしい。
わざと面倒なフリをしたけれども、颯人から誘いがきて、内心ウキウキしてたりもする。
が、実際ベッドの上にいる颯人の背後に回ると、動揺の方が大きくなってしまう。
色素の薄い髪にうっすら隠れたうなじが見え、噛みつきたくなるほどだ。
自分の中で湧き上がる衝動を抑えるようにしたら、つい颯人の背中を押す手に力が入る。
「いたっ!いたいたいたっ!痛いっ!…痛いってば!…もうっ!優しくしろって!」
ストレッチとはわかってるけれども、異常に卑猥に聞こえるのは俺がもう限界なのか。
痛みで顔を歪ませる颯人と目が合うと、顔の距離がいつもよりずっと近いせいか吸い込まれそうになる。
この顔、マジでたまらん。
誰がなんと思おうと、この顔が好きだ。
例え男だとしても。
この口を塞いだら颯人は、どんな顔をするだろう。
どんなことをするとトロけてくれるだろう。
その先は…。
「ーなんてことしやがる。」
気づけば颯人の声が狭い部屋で響く。
颯人を見ると、しかめっ面で妙に嫌そうな顔をしていた。
そんな顔は、見たくないんだけどな。
「冗談でもしていいことと、悪いことがあるだろっ!」
そういいながら、俺の顔を手でぐいっと押して引き離してくるくらい颯人は怒っているので、意味不明だ。
「はぁ?お前、押せって言っておいてなんなんだよ。」
「はぁぁっ?!勝手にキスしておいて、なんでそーなるんだよ!!しかも、口!!」
口を拭っている颯人は、今度は赤面で大パニックになっている。
そして、その事実を知った俺はそれ以上に大パニックで、思わず固まってしまうほどだった。
マジかよ…妄想じゃなくガチでしちまったか…。
これはとんでもない大失態だが、してしまったものは仕方ない。
どう誤魔化そうか考えていると、颯人の方から切り出してくる。
「だから、散々女子のこと振ってたのか!」
「は?」
唐突に言われたことにピンとこずにいる俺に、颯人がどんどん捲し上げてくる。
「お前、あれだ!女子に興味ないんだろ!だからって俺にすんなよ、バカ!!」
勢いよく枕をぶつけてくる颯人は、怒り狂っている。
まずい…
せっかく気兼ねなく颯人のそばにいられるようになったのに、ゲイ認定されてしまったら、颯人はこの部屋からでていくだろう。
それだけは避けたい。
そのためならどんな嘘もついてやる。
「お前バカか。俺くらい告られれば、やることはやっている。」
俺はできる限り、冷静に伝えた。
すると、颯人の動きがピタリと止まる。
「…………マジかよ?!?!」
俺とは反対に、颯人の驚きようが半端ない。
「マジだ。」
実際、そんなことは中学のうちに済ませてたし、ぶっちゃけ、入学してから告ってきたうちの二人がそんな流れにしてきたから、そのうちの一人とは最後までやったこともあった。
「この学校の女子もバカじゃないから、ビッチ宣言してないだけで、俺に一方的に振られた哀れなヒロイン演じてるんだろ。」
それなりにエロくて可愛い子だったのに、やりながら颯人の顔を思い浮かべる俺は、重症だと思った。
一応事実をサラッと、不特定多数っぽく盛って伝えると、颯人は目も当てられないといった様子で赤くなっている。
「一誠…首席のくせにヤリチンじゃん?!なんだよ、勉強ばっかしてる奴だと思ってたのに!!じゃあ、今までお前に告った子の中に、すでにお前と…!」
何人か該当する奴を思い浮かべたのか、颯人はものすごい興奮して騒ぎだした。
ヤリチン扱いは気に食わないが、ゲイ疑惑は回避できてホッとする。
にしても、こんな話しただけでじっとすることもできずに照れてやんの、かわいい。
「颯人、やったことないんだ?」
余裕がでてきたら、少し意地悪を言ってやりたくなった。
ボンッと颯人の顔が爆発したかのごとく、一気に赤くなった。
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