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3日分の荷物をかばんに詰めて、颯人と一緒に寮の正門前にいると、颯人はみるみるうちに驚愕の顔をしだした。
俺んち専属のハイヤーが目の前に止まり、そこからでてきた運転手の黒田さんが荷物を受け取り、ドアを開けてくれる。
動けない颯人の背中を押して、車へと乗りこんだ。
「一誠様、お久しぶりです。」
いつも通りの挨拶だったけれども、颯人の顔が引きつっているので堅っ苦しく呼ばないでもらうことを頼んだ。
やりにくいかもしれないけれども、勉強と部活しかやってない高校生じゃ遠くに遊びに行くのも一苦労だからな。
別荘の使用許可ついでに、送迎もお願いした。
「頼まれていたものもご用意しておきました。」
「ありがとう。」
…あまり深く考えなかったけれども、かなり歳が離れた大人から敬語を使われているこの状況も普通はないか。
颯人がどんどん縮こまっていくように感じたので、なんとかいつも通りにもっていこうとする。
「晴れるといいなー。」
「……ん。」
変な緊張があるのか、車内はクーラーが効いてるっていうのに顔に汗をかいている。
あー…ダメだこりゃ。
二人きりだったら拭いてやるけれども、それはさすがに変だよな。
早く軽井沢で涼んでもらいたい。
東京から車を走らせ2時間ちょっと。
木々に囲まれた2階建ての和モダンが美しい別荘へと到着する。採光がたっぷりとれる大きな窓からの景色は最高だ。
俺んちの別荘以外に周りは何もないから、本当に颯人と二人きりになれる場所だった。
しばらく使ってない別荘の中も、前もって片付けてくれていたようだから清潔感もバッチリだ。
「火には十分注意してくださいね。」
俺と颯人の荷物と共に、両手いっぱいの3日分の食糧と飲み物を渡してもらう。
「では、3日後、迎えに参ります。それまで、お楽しみください。」
「よろしくお願いします。」
軽く手を振り、走り去る車を見送る。車が見えなくなると、颯人の緊張は一気にとけたようで、思いきり息を吐きだした。
「一誠………正真正銘お坊ちゃんじゃん…」
「颯人はそこのソファに座って、お茶でも飲んでな。」
いろんな意味でどっと疲れてる颯人にペットボトルを渡し、肉や海鮮を冷蔵庫にしまう。
何個も肉のパックがある中で、一際目立つものを発見する。
やった、でっかいステーキ肉がある!
これならフライパンで焼いて、塩、こしょうだけでも十分だ。
料理は特別できるわけじゃないけれども、フライパンと炊飯器があればなんとか過ごせるだろう。
食パンと卵もあるから、サンドイッチも作れるな!
袋の中をよく見ると、母親からステーキ肉を美味しく焼くコツや簡単に作れるレシピも添えられている。
この多くの食材も母親が選んでくれたものかと思うと、かなり恥ずかしさもあるけれども、嬉しくなってくる。
この3日間は、思いきり羽を伸ばしていいんだと家族からも言われてるみたいだ…。
「でっけー冷蔵庫…」
背後から颯人がつぶやきながら肉のパックを渡してくれる。
「休んでていいってば。」
「……落ち着かねーんだもん。」
普段と違う環境にまだまだ颯人は慣れないようだ。
自分たちの荷物も一通り片付け終わり、リビングのソファーに座って一息つく。
「腹減ってる?」
「いや…」
「食べるもん、結構あったな。食べきれるかな。」
「…」
一人用のソファでかなり居心地が悪そうにして座っている颯人に手招きする。
恥ずかしそうにして中々そばに来ない颯人の手をグイっと引き、そのまま抱き締める。
昼間から堂々と颯人とくっつけるなんて最高だ。
ちゅっちゅっちゅっと颯人の顔中にキスしていくと、たちまち興奮してくる。
そんな俺とは対照的に、颯人はなんだか身体も固く、口数も少ないし、かなりぎこちない。
6畳くらいしかない狭い寮の部屋の10倍近くある場所じゃ無理ないのだろうか…
早く颯人もリラックスできるといいな。
機械音が鳴り響くことに合わせて立ち上がる。
「颯人、風呂入ろ」
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