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風呂からあがり、寮の部屋でいつも着ているTシャツとジャージを着せる。
風呂に入りすぎたのか激しく動かしすぎたからか、颯人はダラリとソファで寝そべってる。少しはリラックスできてきたかな。
カットされたメロンとパイナップルを颯人の口へと持っていくと、そのまま食べてくれるから犬でも飼ってる気分だ。
窓から見える緑がやたら綺麗に見えて、エアコンがなくとも澄み切った空気とともに心地よい風が流れてくる。
俺に膝枕されている颯人を眺めていたら、愛おしさが溢れてきた。
ずっとこんな風に穏やかに過ごしたい…。
「颯人ー。」
「ん?」
「颯人のこと、好きだ。」
広い別荘がしんと静まる。
そうだな…うん、颯人のこと好きだな。
今まで芽生えたことのない感情を言葉にしたら、とてもしっくりきた。
一人、しみじみと納得していたが、木々がざわざわと風に揺れ、その音が耳に入ると、だんだん現実に引き戻されてくる。
さっきまでどこか異世界にいた気分だったので、一気に汗が噴き出す。
は?!今、俺、告った?!
この非日常的な環境に飲まれ、無意識のうちに告ってしまっていた。
自分をコントロールしきれず、この後どうなるかという覚悟もなく勝手に口からでてしまったことに驚く。
言ってしまったけれども…
「んー。」
颯人は、微動だにせず、そのままパインをモグモグ食べ続けていた。
え?!
あまりにも軽い返答に、持っていたフォークを落としそうになる。
学校で軽くエロいこと吹き込んでる時の方が遥かにいいリアクションしてくれるじゃんかよ…
でも、ここまでいってしまったなら、颯人の答えを聞きたくなった。
「い……今までちゃんと言わなくて悪かった…。颯人のこと好きだから…ちゃんとしたいと思ってる…」
こんな誠実なことを言ってるにも関わらず、どんどん自信がなくなっていく。
今まで言葉にしないだけで両思いだと思ってたんだけど違うのか…。
しばらく沈黙が続いた後に、颯人が勢いよく起き上がりだす。
「………マジでいってんの?!?!」
先ほどのやる気のなさはどこにいったのか…今はやたらと慌てている。
これは……どう受け取ればいいんだ…。
「マジだってば…」
そう告げると、今まで見た事ないほど驚いている顔を見せた。
すぐには、俺の言葉を飲み込めないようだ。
「だって………一誠、ヤリチンで…俺なんて同室でいつでもやれる都合のいい奴って感じだったじゃんかよ…」
「は?!そんな風に思ってたのかよ?!」
「あんなんされてたら思うだろっ!!ジャージだって破かれたんだからなっ!」
「ぐっ……」
今までなぁなぁにしてきた俺たちの関係を誰かに説明しようとしたらそんな感じになっても仕方ないような気がした…。
仕切り直して言うしかない。
「今だけじゃなくて颯人とずっと一緒にいたいって思ったから…その…ちゃんと付き合いたい…」
男同士ってことがあって、形にせずにこのままいられるならそれでもいいと考えていたけれども、きっとこれが本心なんだと思う。
だって他の人のことは本当に興味が持てないんだってば。
他の女子からも誘われたけれども、勉強で忙しいと断って遊ぼうとさえ思わなかった。
俺の決死の告白を聞いても、颯人は全然ピンときてないようで。心ここにあらずといった状態だ。
「だってお前…………」
颯人が言いにくそうに口籠るので、ある程度察する。
「よくねー噂も聞いてるかもしれないけど、俺は颯人とやってからは颯人としかやってない。これからも颯人だけでいい。」
はっきりと言い切った。
そんなよくわからない噂よりも俺を信じて欲しかった。
「マジかよ……」
すると、ようやく俺の想いがちゃんと伝わったのか、颯人も黙って俺を見てくる。
なんて言われるかわからないので困惑しながらも、その切れ長で大きな目に見入る。
あー…やっぱり颯人の顔好きだな。
「………俺も一誠好き……なのかな………」
聞き取れるかどうかのギリギリのボリュームだったけれども、ちゃんと聞いた!!
颯人は目線を合わせてくれなくなってしまい、混乱しているように見える。
「好きでしょ」
「…かなぁ?」
「そーだってば」
強引に颯人を洗脳させようとしていたら、お前いつもそうじゃんと颯人が笑い出した。
しばらく颯人に考える時間を与えると
「……そーだな。一誠のこと好きだな」
ようやく認めてくれた颯人が俺を見てくれる。
「俺も好き。」
「もう言うなっ!」
恥ずかしそうにしている颯人を抱きしめる。
そのままやろうとすると、颯人が手でストップしてきた。
「身体もたないから、夜なっ!」
こんなに盛り上がっていたところで、お預けを喰らう。
「颯人、体力ないな。部活、それで大丈夫なのかよ」
「それとこれとはちげーだろっ!バカッ!」
怒りだす颯人はすでにいつも通りだ。
かなり予想外なことが起きてしまったけれども、嬉しすぎて身体がフワフワする。
今までとまた違う感覚だ。
早く颯人の心ごと抱きたいと思う。
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